「総司君!トリックオアトリート!!」
玄関のドアが開いて、顔を出した彼に元気いっぱいにそう言ってみれば、頬を緩めて笑ってくれた。
ミニの黒いワンピとボーダーのニーハイ、そして黒のハットで総司君の家にやってきたのだ。
「わ、可愛い魔女だね?いらっしゃい」
私のかぶっていたハットを取り上げると、軽くおでこにキスをくれる。
「えへへ、トリックオアトリートだよ!!」
「しょうがないな、はい」
「わーい!お菓子!!」
掌にちょこんと乗せてもらったチョコに気を取られていると、後ろからぎゅうと抱き締められた。
「じゃあ僕も・・・・・・トリックオアトリート」
耳元でそうやって囁いてくるから、ドキリと心臓が跳ねる。
「・・・トリックがいいな」
恥ずかしくて、そう小さな声で呟くと、頬に優しく唇が触れた。
「・・・・・・そんな可愛い格好で誘って、どうなっても知らないよ?」
END
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