**土方先生編**


「ったく、バレンタインってのはいつまで経っても落ち着かねぇ」

生徒の告白シーン程、気まずいものはない。

教員同士、義理だとわかりきったチョコレートをそれなりに貰うが、生徒同士のそういうやり取りは、自分が学生の頃を思い出してしまってなんとなく居心地が悪い。

「はは、これで靴箱にチョコレートとか入ってた日にゃ笑えねぇな」

本当に笑えない冗談をいう原田の言葉を聞きながら職員室を後にし、冷たい廊下を歩いていた。

明日は休みだからと、新八の提案でこれから飲みに行くところだ。



・・・バタン!!



「・・・どうした?土方さん」


教員玄関に到着して、自分の靴箱を開いて・・・・・・、閉じた。



「いや、忘れ物しちまった。悪いが先行っててくれ」

「そうか、じゃあ後で」


“笑えない”ことが実際に起ってしまったらしい。


ほかの奴らに気づかれてはまずいと、とりあえず原田達を見送ってから、もう一度靴箱を開けた。


・・・間違いない。


ラッピングされたその箱の中身は、間違いなく今日のイベントの・・・


・・・・・・だったら、どうすりゃいいんだよ。



一体どこの誰が―――と、頭の中でとにかく上手く断る方法を考えながら、その箱を手にとった。


「・・・・・・ん?」


軽すぎることに不審がりながらも開けてみると。




“古典が嫌いです。 おきた”





「・・・・・・あンのクソガキがぁぁッ!!!」



空箱と、腹立たしいメッセージカードを握りつぶし、ゴミ箱へと投げつけた。



・・・廊下の奥で光ったメガネにも気がつかずに。




END



**おまけ**


「さすがに先生たちが帰るまで見張ってなんていられないですから」

「そういうことでしたら、喜んで協力させていただきます。ワクワクしますね。誰から行きましょうか」

「そうだなあ、土方さんとかは真面目な性格だから素直に喜べずに頭抱えそうで面白いかも」

「では土方君からにしましょう。・・・これは、楽しみですね」



(悪戯っ子総ちゃんの助っ人は山南さんw一部始終を廊下の影から撮影していたらしい)


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