**平助編**


「総司っっ!!」

ホームルームを終えて、さて部活に行こうかなと立ち上がろうとした瞬間だった。

勢いよく扉を開けて教室に飛び込んできた平助くんにクラス中が大注目。

全速力で走ってきたらしく、息を切らしながら僕の席までやってきた。

「どうかした?」

「・・・どうかした?・・・っじゃねーよ!なんだよコレっ!!」

ご丁寧に僕の真似をしてくれたみたいだけど、生憎失礼なほど似ていない。

バン、と机の上に叩きつけられたそれは、僕が昼休みに平助くんの靴箱に入れておいたものだ。

「嬉しかったでしょ?」

「・・・っ」

ピクリ、と顔を引きつらせると、自分を落ち着かせるように大きく深呼吸をした平助くんが、これまたクラス全員に聞こえそうな大声で言った。

「ああそうだよ・・・・・・、喜んだよっ!そして次の瞬間泣いたよっ!!!」

靴箱に入れておいたのは、今朝僕がもらったチョコレートの空箱。

もちろん中身はもう食べてしまったから、申し訳程度にメッセージを添えておいたのだ。

くしゃりとその空箱を握りつぶした平助くんが悔しそうに泣き崩れた。

「畜生・・・!お、俺だってっ・・・!!」



“なまえちゃんからチョコレートもらったから、空箱のお裾分け。 おきた”



(平助くんにチョコレートあげようと思うんだけど、いつどうやってあげたら良いか分かんなくて)

(放課後、靴箱に入れておくのが良いんじゃないかな)



一回僕がへこませてあげたから、喜びは多分、倍になる。

君たちが両想いだって知ってるんだから。

いい加減、くっつきなよ。



END


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