楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので。
「今日はありがとうございました」
家まで送ってくれた彼に、ぺこりと頭を下げた。
そもそも、どうしてクリスマスに一緒に出かけようだなんて誘ってくれたのだろうか。
そのせいで期待している自分が居たが、結局今日一日何もなくて。
この階段を上ればいつもと同じ日常に戻ってしまう。
「また・・・」
「うん」
「おやすみなさい」
「じゃあね」
なんて、別れの挨拶をしてみたものの、一向に沖田さんが去る気配がない。
「あの・・・・・・沖田さんが帰らないと、私も家に戻りづらいです」
「・・・それはこっちのセリフなんだけど」
「・・・え?」
「寒いんだから、早く行きなよ」
甘いクリスマスの結末を想像していた私が馬鹿だったのかなあ。
沖田さんは別に、予定がたまたま空いていて、たまたま独り身の私を誘うしかなかったんだろうか。
そう思えば、少しだけ悲しさと、悔しさが浮かぶ。
「・・・分かりました。でも」
彼が動かないなら、私が動くしかない。
だって、本当に楽しかった。朝からずっと二人で居られて。
可愛いところも、大人なところも、いろんな沖田さんを見られて、幸せだなって思った。
この幸せを延長したいと思う私は、わがまま?
「・・・どうしたの?」
一歩、彼の前に踏み出すと、少し驚いた表情の沖田さんが私を見下ろしていた。
その彼の頬に手を伸ばし、ほんの少し背伸びをして、唇を重ねると、真っ赤になった沖田さんがふっと視線を逸らして呟いた。
「・・・・・・せっかく、ここまで完璧だったのに」
「え?」
「本当は・・・帰る君を、後ろから抱きしめて、キスして、それから―――好きだよって言う予定だったんだ」
***採用させていただきました***
あげたい→“もちろん“キス”ですよね!!”
もらいたい→“愛の告白!!”
ダブルで採用させていただきました!みゆさま、Hanaさま、ありがとう!!
&後ろから抱きしめられたい・・・!という私の希望を込めて(笑)
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