「・・・んー・・・?・・・あ、」

そうだった、泊まったんだった。


見慣れない部屋の景色と、背中に感じる温もりと、ほっとする彼の匂い。

ごろん、と寝返りを打てば、まだすやすやと眠っている歳くん。

嫉妬する程美人な彼の寝顔に、ごくりと喉がなった。

「・・・・・・、あ。起きてた、か。・・・何時だ?」

ゆっくりと開いた彼の瞼はまだ重そう。

半身を起こして、私の向こう側にあるサイドテーブルから腕時計を取り上げると、眩しそうに目を細めて時間を確認した。

「9時、か」

コトリと時計を手放した彼が、私の肩に優しくキスを落としてぎゅう、と抱きしめる。

なんだかんだ付き合い始めてもお互い時間が合わなくて、そのまま家に泊まったのは初めて。

だからこうして、寝起きの彼を見るのも、初めて。

「なに笑ってやがる」

「え?えへへ、幸せなの!」

ぎゅ、と私からも彼に抱きつけば「可愛いこと言ってんじゃねえよ」なんて照れた顔を逸らして、彼のたくましい胸に抱き寄せられた。


「ん・・・あ、そうだ」

「どうしたの?」

「これ、やるよ」

「・・・・・・え?」

「あれだ、ほら、クリスマスプレゼント」

サイドテーブルから取り上げ、私の目の前に差し出されたのは、家の鍵。

「好きな時に来てかまわねえ」

「歳く・・・」

「忙しいを理由に別れるなんてごめんだからな、お前を傍に置いておきたい。なんなら、一緒に住むか?」


こみ上げてきた嬉しさに、私はとびきり笑顔で答えた。


「住む!」



***採用させていただきました***
“マンションの合鍵。(好きな時に来てかまわねえ。なんなら一緒に住むか?)とか言われたいい!トッシーLOVE”
トッシーLOVEにやられました(笑)とびきりのあまーいクリスマスに!ありがとうございました♪


back
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -