「だから言ったのに」
「う、うるさい、ばか総司っ!」
ぐす、と鼻水をすすったなまえが、ウサギみたいな真っ赤な眼で僕を睨んだ。
放課後、隣の君のクラス。
なんだか居心地の悪いその空間に、君が居るだけで僕はいつまでもそこに居たくなる。
「だいたいさ、無謀なんだよ」
君の前の席に座り、頬杖をついた僕は泣いてる君を見ないように視線を落とした。
「どういう意味・・・」
すん、と鼻を鳴らしてかすれた声が耳に届いた。
「真面目な一君とガサツななまえがさ、相性が良いわけないって言ってるの」
「・・・・・・ホント、総司は乙女心が分かんないよね」
「そういう君は、男心が分かってない」
君を好きな男がここに居る事に、何年気付かないんだろうね。
頬に流れた涙を掌で拭いながら、深いため息をついて机に突っ伏した君。
「私、一生分かんないかも、男心」
次々と溢れだすらしい涙をこぼしたくないのか、ごしごしと目を擦っていた。
「・・・・・・冷やしときなよ」
その言葉に少しだけ顔をあげて潤んだ瞳が僕を見つめた。
「目が腫れちゃったらせっかくの可愛い顔が不細工になっちゃうよ」
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