「いいじゃねぇか、固い事言うなって」

「俺は当たり前の事を言っているだけだ、ライブ前に酒など許さん」

「・・・・・・お姉さん、ビール頂戴」

「あんた、出さなくて良い」

なにやら、入口から入ってきたらしいその人たちは今日の出演のバンドだろう。

カウンターのスタッフの子がどうしたらいいのかと困っている。

それを横目に私は、たくさん入った氷のせいで、さらに薄くなったカシスオレンジをちびちびと飲む。

「ほら、斎藤、その子も飲んでる」


え゛!?わ、わたしっ!?


「客と出演者を一緒にするとは、あんた何を考えている」

「本当、お前は真面目だよ。一杯くらいいいじゃねえか、なあ?」

「えっ・・・えっと、あのっ」

ドリンクカウンターのスタッフの子の気持ちが分かる。

急にこちらに話を振られてもどう返していいのか分からないし、そもそも私この人のこと・・・知らな・・・・・・



―――イケメン、長身、たくましい(と思う)、素敵な笑顔、セクシーな声・・・やばいっ、この人、超タイプ!!!!!!



横目でしか見ていなかった彼に顔を向けると、彼も何故だか驚いたような顔で私を見ていた。


「なあ、・・・・・・俺と、会ったことないよな?」

「えっ・・・・・・?」

「いや、いい。忘れてくれ」

「行くぞ、左之。口説くのもライブが終わってからにしろ」

「あ、ああ。すまねぇ・・・」

「まったく、初ライブだというのに・・・」

彼は、固いらしいメンバーさんと共に楽屋へと入って行った。



どういう事?彼は私に会ったことがあるの?

嘘だ、こんな超タイプな人、私が一度会って忘れるわけがない。

だったら何で?本当に口説き文句ってこと?

でも、あの驚きよう、そうは見えなかったけど・・・。



(設定は今といっしょ、左之さんは恋人を亡くしているのです。なんで没って、つまらなすぎるww)
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