「ひーじかーたせーんせっ!」
「だぁ、またお前か!」
「やだ、照れてるの?案外可愛いとこある〜」
「いいから放しやがれ馬鹿野郎が!」
男の人の力で無理やりに引き剥がされてしまった私は、ふてくされた顔をして先生の隣について歩いた。
先生が好きなの、大好きなの。
しょうがないじゃない、好きなものは好きなんだから。
私は何度も先生にそう伝えたのだけれど、答えはいつも決まってた。
『俺はガキなんかにゃ興味ねぇんだよ。ほら、あっち行ってろ』
「ねーぇ先生、私見たい映画があるの」
「おおそうか、そりゃ良かったな」
「じゃなくて、先生と一緒に、見たい映画があるの!」
「俺は別に見たかねぇよ」
「もーーー!素直じゃない!」
「そりゃ光栄だな」
そうして職員室に入っていった先生の背中を、いつもここで見送ってた。
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