「・・・斎藤さんと、平助くんと、それから、」
一人一人名前を告げる彼女に目を合わせた瞬間だった。
彼女の口から、私の大好きな人の名前が呼ばれたのは。
「・・・それから、沖田さんも」
ドキ、と心臓が大きく跳ねた。
私が、彼を好きなのは誰にも言っていないけれど、なんだか雪村さんに見透かされているような気持ちになってしまったほんの少しの焦燥。
それから、目を合わせたはずなのに、沖田さんの名前を言った瞬間に目を逸した彼女の様子に浮かんだ不安。
もしかしたら、付き合うことになっただなんて、報告でもされるんじゃないだろうか。
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