「随分ぐっすり眠ってたね」

彼のベッドの中で目を覚ました私が、現状を飲み込むためにと部屋の中を見渡している時に、沖田くんがそう言って私の顔を覗き込んで笑ったその瞬間。

仕事中にも、休みの日にも見たことない、完全に家でくつろぎモードの沖田くんの笑顔にやられたんだ。

「えっと・・・ご、ごめんね!?私、昨日・・・」

どきどきとしている自分に驚いて、がば、と起き上がると、ベッドに腰掛けた沖田くんが、キスでも出来そうな至近距離に顔を寄せてきた。

「完全酔いつぶれちゃったからさ。放ってなんておけないでしょ?」

「・・・・・・あ、ありがと」

恥ずかしいのと、メイクをしたまま眠ってしまった汚い肌を見せたくなくて、慌てて布団を手繰り寄せて膝を抱えた。

俯いた私にため息を一つついた彼の、ぽんと頭に触れたその手が、すごく温かくて。

「私、何か変なこと言ってなかった・・・?」

顔を両手で覆って、指の隙間から沖田くんを見れば、綺麗な翡翠の瞳が、私だけを映しているその事に、また一層、ドキドキしてる。

「・・・・・・・・・」

「ちょっ・・・!何、その意地悪な笑顔!!」

「・・・・・・・・・」

「や、やだ・・・私、何言ったの?」

「さあ?」

「お、沖田くんてば!」

「秘密」

私の弱みでも握ったつもりでいるのか、なんとも嬉しそうな顔をしてそう言った。
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