「あ、おかえりー、早かったね?」

「そ、そうか?」

カバンをおろし、スーツの上着を脱ぎながらキョロキョロあたりを見回している彼に、理由はわかっていながらもわざとらしく聞いてみた。

「・・・・・・どうしたの?なんかあった?」

「いや、その・・・なんでも無い・・・」

「もー!正直に言えばいいのに!愛娘の顔を見たくて急いで帰ってきたんでしょう?」

図星。照れた顔をしながらほんの少し俯いた。

「・・・・・・ね、寝ているのか?」

「うん、さっき寝たとこ」

彼が脱いだ上着を手に、まっすぐ寝室に向かった。



きちんと手洗いうがいを済ませた彼が、娘を寝かせているベビーベッドを覗き込み、安心したようにため息をついた。

そして何とも言えない、くすぐったそうな笑顔でわらっている。

・・・その顔、かわいいなあ。

「・・・・・・パパ帰ってきたよー」

「ね、寝ているのだろう!?」

「あはは、これくらいじゃ起きないよ」

「そ、そうか・・・」

産まれたばかりの頃に、どうしていいかわからないと言って、すごく不安そうな顔をしていた。

はじめて抱っこした時に泣き止まなくて、私が代わるとぴたりと泣き止んだことがあって。

おかげで自信がないと落ち込んでいたけれど、今ではすっかり娘にデレデレのパパである。

「ねえはじめ、これからもまっすぐ帰ってきてね?」

「もちろんだ」

「・・・娘に会いにじゃなくて、たまには私に会いに帰ってきて欲しいな」

「・・・・・・っ、それは、」

本当に言葉にするのが苦手な人だ。ただ、うん、って言えばいいのに。

耳まで真っ赤にした彼が、何かを言おうと、口を開いたり閉じたり。

そして、視線を彷徨わせながら、あの、そのを繰り返す。

「ねえ、私には会いたくないの?」



「・・・家にまっすぐ帰る理由は、結婚する前からずっと・・・あんたが居るからだ」


「はじ、」


真っ赤な顔をして、真っ直ぐに私を見つめて、真剣な顔で言うから。

私まで赤くなっちゃったじゃない。

あんなに動揺してたくせに。



驚いてしまった私の唇に、彼の視線が降りたから、ゆっくり目を閉じた。



あなたと一緒にこの子を育てられるって、わたし、幸せで泣きそう。




**********

Q.旦那にしたいのは?

A.斎藤一

この人以外有り得ない!!!
真面目で誠実。絶対まっすぐおうちに帰ってきてくれる!
娘溺愛だけど、ホントは母乳を飲んでる娘に嫉妬すればいい←

友達 / 恋人 / 旦那 / 愛人 / 抱かれたい / 抱きたい

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