祝日の、昼下がり。

せっかくの休みだというのに、外は豪雨。仕方がないかと、のんびりと家で過ごす事に決めた。

普段学校やバイトで家に居ない私たちには見慣れないワイドショーで、特集が組まれていた。



“女性のドキッとするしぐさ”



その男、変態につき



「ちなみに、はじめは?」

「・・・な、何がだ」

「え?だから、ドキッとするしぐさ?どんなの?」

ず、と淹れたての熱いコーヒーをすすりながらチラリと、隣のはじめを見ると、気まずそうに目を逸らした。

・・・・・・はて。

「いや・・・」

・・・・・・はじめがこんなに動揺するなんて珍しい。

たまにはちょっとくらいからかってみても、良いよね?

「私にも、ちゃんとドキッとしてくれてる?」

「・・・っあ、当り前、だろう・・・」

真っ赤になって顔を逸らした彼の、その反応が無性に嬉しくて。

滅多に見れないその顔を覗きこんでやろうと、右隣に座ってそっぽを向いているはじめの左肩をぐい、と掴んだ。

「ねえ、どこにー?」

顔を覗きこんだ瞬間に、はらりと、おろしていた髪が顔にかかってしまい、邪魔だな、と耳に掛けた。

「・・・そ、それ、だ」

横目で、私を視界の端に捉えた彼が、ぽつりと呟いた。

「え?それって?」

「その、耳に、・・・」

「・・・へ、へえ!!なんか、意外っ!や、聞くけどね、良く。え?これ?あはは」

完全に主導権を握っている私は、恥ずかしがる彼にまたわざとらしく耳をさらした。



「わ・・・はじっ・・・」



どうやら、おふざけが過ぎたらしい。

ドサリとソファに押し倒され、真っ赤な顔に見下ろされている。

形勢、逆転。

「・・・ご、ごめん。怒った?・・・ちょっ、なに・・・」

私の耳に、触れた唇。

そのまま耳元でささやかれる。

「・・・・・・あんたの綺麗な耳に、だ」

「は・・・はじめ、さん?」

そのまま、かぷりと私の耳にかみついた彼。

「ちょっ・・・た、ただの耳フェチじゃない!」

「心外だな、あんた限定だ」

ばっくんばっくんと、心臓がうるさいのは、私が彼の、こういうところが好きだから。

急に話題を振ると照れる癖に、はっきり言っちゃうところ。

「普段、隠れているものが見える瞬間と相まって、先程の髪を耳に掛けるしぐさは、たまらなく、」







「・・・〜〜〜っ、変態」

「だから、あんた限定だ、なまえ」




―――たまらなく、興奮する。



END


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