見つけて

リリアンの近くで開催される仏像展に私は1人で来ていた。




志摩子さんは家の用事があるらしかったので「また今度遊びに行きましょう」そう言われた。



今回の仏像展はあの有名な仏像がくると言うことで意外と混雑している。


そしてやっと目の前で拝める、そう思った時に私の隣には同じ年くらいの女の子が居ることに気が付いた。


―――自分で言うのもあれだが、この年で見に来るとは珍しいと思う。


話し掛けてみようかな。

そう思ったのはいいんだが、中々話し掛けるタイミングがなくて見失ってしまった。

しかし再開は早かった。それは帰りの電車内。
話掛けようとした時に太ももに違和感。

「……ッ」
ち、痴漢…!?

初めての経験で何も出来ずにパニックに陥りそうになる。
混んでいるために、移動も困難。



――嫌だ、助けて!

目をギュッと瞑った時――。

「何やってんだよおっさん」
その声と共に手が離れた。
急の出来事で声のした方向を見ると先ほどの女の人が。



「わ、私は何もやってはいない!」

「何もやってないみたいですけど?」

男の言葉にそうなの?と女の人は聞いてくるが、そんなわけない、私はこの男に触られた。


「触られた、みたいだよ?そう顔に出てる」


「はっ、言ってないではないか」

「…あのさー、私、見たって言ったよね?言っている意味分かる?」



何故か男の顔が真っ青になる。こちらかの女の人の表情は見えないからよく分からなかったけど多分とても怖い顔をしていると思う。
なぜなら雰囲気が凄い刺々しいから。

「ひ、ひぃ…!」
駅について電車のドアがあいた瞬間男は逃げ出した。

――しかし。



何があったか分からない、一瞬の出来事だった。
男、飛んだ。それも落ちた位置は人が居ない位置。

「駅員さーん、この人痴漢でーす」この言葉で男は連行された。

「あの、ありがとうございました」

「どういたしましつ、白薔薇のつぼみ………あ」

何故敬称を知っているのだろう。
彼女は彼女でしまった、という顔をしている。



「リリアンの人?何年生?」

「あー……そうです、高等部1年です」

バツの悪そうな顔をしていたが素直に答えてくれた。
「じゃあ妹になって」

「……は?」



「あれ?私何言っているんだろ」



勝手に口が動いた←
……うん、気に入ったからって言うことにしとこう。

「……見つけたら」



「え?」



「私のことを見つけたら、またお願いします。その時はお受けしましょう」

それだけ言うと改札の方に向かう。彼女はこの駅が最寄りらしい。



「絶対、見つけてみせるから」

けどその1週間後、見つけた。
名前は名字名前さん。

なんと彼女はあの時とは違い眼鏡を掛けていて長い髪をおさげにして、あの時の面影はないくらい地味な感じだった。


何故そんな格好かと言うと彼女曰く「面白いから」だそうで。


そして。


「妹に、なってくれませんか?」

緊張して敬語になってしまう。
あれは実は冗談だったらどうしようという不安もあった。

「お受けします」彼女……もとい名前さんは笑顔で答えてくれた。



こうして白薔薇のつぼみの妹は誕生した。





後日。

白薔薇のつぼみの妹になってからおさげを止め、眼鏡からコンタクトにした名前は絶大な人気を誇るようになったという。





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