その日の1日・AM
朝。
朝日が、ゆっくりと部屋に入ってくる。
名前はうっすりと目をあける。
時計は、六時半を指しまだ目覚ましすら鳴っていないことに気づく。
『今日も気持ちのいい朝だ!』
めいいっぱい背伸びをして、
名前は、パジャマを脱ぎ捨てた。
白セーラーに腕を通し、スカートをはく。
髪をさらさらになるまで、とかして、髪を結う。
ばちん!と音がして、鏡を見つめる。
『よしっ!でーきた』
と、いっても。
まだ朝ご飯はできていないだろう。と、いうかまだお手伝いさんがくる時間になっていない。
母と父は、おそからくもう病院には出勤しただろう。弟はまだどうせ起きていないだろうし。
『バスケの雑誌でも読もうかなー』
雑誌が置いてある方によると、開きっぱなしだったものがあった。
黄瀬涼太。
そうかかれた雑誌。
『こうみると、涼君ってホントに、モデルなんだな…』
バスケしているときとは違う。
モデルとしているときはまた違ったかっこよさがある。
ぱらぱら、そうめくっていって。
いい臭いが鼻についた。
そのとき、時間がかなりたったことに気づく。
『っと、そろそろいかなきゃ…っ!』
私は、軽く朝食をすませ。
家を飛び出した。
『あ、テツ君っ!おはよう』
「おはようございます、名前」
家の外で待っていてくれたのか、扉をあけると、テツ君がいた。
「あ、テツ兄だ!」
「おはようございます、露。バスケの調子はどうですか?」
「あぁ、いい感じたぜ!」
後ろから、私の弟である露がでてくる。
バスケ好きで、真っ直ぐで。
キセキの世代にあこがれる、帝光中一年。
『露、時間大丈夫なの?』
「あ、やべ!名前姉、行ってきます!」
『行ってらしゃい!』
「相変わらず、仲がいいですね」
『そうかな?…それよりテツ君、寝癖ひどいよ?』
名前の細い指が、黒子の髪にそっと触れた。
『それじゃあ、今日もよろしくお願いします!』
「はい、名前。こちらこそ」
校門の前で、いつもと変わらぬ挨拶をする。
げた箱で靴をはいて。
階段を上って、1-Bと書かれた教室に入る。
教室には、すでに何人かの生徒がいた。
「名前、おっはよー」
『おはよう!瑠湖ちゃん』
クラスメイトに挨拶をして、自分の席につく。
黒子が、名前の隣で。
黒子の前が、火神だ。
『テツ君、昨日忙しかったけど宿題終わった?』
「はい、思い出してちゃんとやりました」
だから、今日は少し眠たそうなのか。
昨日は、練習遅かったしね。
『じゃ、答えあわせしよっか』
「はい」
机をくっつけ、二人の回答をみる。
****
一限
『テツ君、大我君、起きて!』
小声で言うが、全く気がついてもらえない。
二人とも、すでに夢の中だ。
スースーと、規則正しい寝息が聞こえる。
「火神!後で生徒会室へ来い!」
『あぁ、ごめん。間にあわなかったみたい…』
先生の頭にダンクする勢いで、
手を叩きつけた。当然。許されるはずもなくて。
『というか、見事にテツ君はスルーだね』
まだ、私の隣で規則正しい息を続ける彼に向かって。そっと呟いた。
2限目・休憩
「やっべ、宿題やってねぇ!」
『あぁ、昨日忙しかったもんね』
「火神君、今日当たるんじゃないんですか?」
『ふふふっ、昨日頑張ってたから見せてあげる』
昨日、あんなに汗かいていたんだ。夜、すっごく疲れていたんに違いない。
それに、あの先生はちょっぴり火神君は苦手そうなので。
一生懸命写している姿をみて
名前はくすり、と笑った。
「なんか、火神君だけずるいです」
『じゃあリコ先輩に言って、練習2倍にしてもらう?』
「それ、名案です」
冗談で言ったことが、採用されたみたいです。
『大我君(いろんな意味で)ガンバ!』
名前は明日も火神がバテないよう、
祈るしかできなかった。
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