とりあえず、信じて貰えるか解らないけど、トリップのことを話すことにした。


今までの世界のこと、

この世界は私の世界では漫画であること

その漫画を私が読んでいたこと。

捨て犬と呼ばれた私の生い立ち…は、人に同情されるのが嫌なので、
黙っておくことにした。


「…驚きだな」

土方十四郎が一言、そう感想を述べた。


「そうだな…驚きだな」

ゴリラは土方十四朗に同意した。

ゴリラ本当に話理解できたのかな


「…でも、今、トリップ?をしてきたってことは、これから行くあてはあるの?
…って、ある訳ないよね?」

山崎が、こんな私みたいな不良で怪しい奴の言う事をすぐ信用してくれた。


「…ないです」

「そんじゃ、どっちにしろ迷子は保護しないといけねぇし、
しばらくここにいなせェ。ま、世界を跨ぐほど規模のでかい迷子だが。
いいですよね近藤さん?」

総悟が、当たり前の様に優しさをくれた。

「そうだな!トリップするくらいだから、
真選組でお前さんのことは調べなきゃいかんしな!伶奈さん、ご協力願えるかな?」

「もちろんです…ありがとうございます」

真選組の人達の優しさに甘え、しばらくは真選組の屯所でお世話になることにした。

「さて…とりあえず、その格好をなんとかしなきゃな。それじゃ何処にも行けやしねえ」

土方十四郎が私を指差した。

「…ですよね」

高校の制服姿だし…

そう私は笑った

笑ったのに

「んん……」


なぜか局長とかは困っていた。

「…そうだな、山崎!」

土方十四朗が声をあげた。

「はい?」

「お前、前に女装してたろ。そんときの着物こいつに貸してやれ」

「了解です」

「まじでか」


「ん?嫌なのかィ?そりゃあ、なんせ山崎だもんな」

「訳解りませんよ隊長。…でも、確かに今まで男が着ていたのを着るのは嫌だよね?」

山崎が私の目を見て聞いてきた。
…嫌なんじゃなくて…


その逆で…

ぎんたまキャラの着ていた服を着るのとか…


「……興奮するんですけど」


「…え?」


「あっいえ、なんでも無いです!全然嫌じゃないです、大丈夫です」

……あっぶない…

「……そっか」


少し疑問に思いながらも山崎は私に笑いかけた。


……あれ?…

…なんか…


ポロッ…


「え…どうしたの、大丈夫!?」

「泣ーかしたー泣ーかしたー」

「総悟黙れ」


なんだか自然と涙が出てきた

…なんでだろ


「…す…すみまっ…せん…なんか…う…嬉しくて」


たくさんの優しさが、優しい笑顔が、私にしては珍しく、素直に嬉しかった。
あぁ、師範に報告したい。

今私、とても幸せです。


「…今日はいろいろあって疲れたろう?空いている部屋があるから、
そこが君の部屋だ。今日はゆっくり休もうか…」

「…はい」

気遣ってくれたゴリラに甘え、今日は寝ることにした。


「明日までに着物用意しときますね!それじゃ、部屋案内するよ!」


「あ、はい」


本当に優しい人達だなぁ……


山崎が用意してくれた布団は、さっきと同じでふかふかで、
ぐっすり眠ることが出来た。

んー、女中さん、毎日こんなふかふかな布団……、お疲れ様です……








×