次の日。
とんでもないことが起きてしまった。
「ふふふふふふ副長おおおおお!!」
「なんだ、朝から騒々しい」
「すんませっ…!あのっ、伶奈、伶奈がっ」
「本城がどうした」
「伶奈が笑ったって、本当ですか!?」
そう。伶奈が笑ったのだ。
俺の知らないうちに。
しかも
「ああ。笑ったよ。昨日」
こいつ(土方)の前でっ…!!!
「(俺が笑わせたかったのに!)」
実際、一番初めに伶奈の笑顔を見た最初の人物はこの俺なんだぞ!?
なんて言えるはずもなく。
「そ、うですか…。」
うなだれるしかないのだった。
「…そんなに、自分で笑わせたかったのか」
「…え?なんか言いました?」
「いや…なんでもない。まあ言っておくがな、本城を笑わせられたのは俺でも、俺はあくまでもお前のおかげだと思うぞ」
「……?」
どういう意味だろう。
こんなハッキリしない副長、珍しいな。
「おはようございます」
突然、高い声が聞こえた。
「おぅ、本城」
「土方十四郎、お雪さんが呼んでました」
「そうか、分かった」
副長は、じゃあ俺はこれで、というと、俺の肩に手を置いて去って行った。
「……?」
「…山崎?」
「うぇっ、な、何?伶奈」
「や…変な顔してるなあって思って」
「…あ、そう」
「朝稽古、行きましょ」
「うん…」
せっかく笑えるようになったのに、伶奈はニコリともしない。
「…(俺嫌われてんのかな)」
「?山崎何してんですか、早く」
「あ、うん…伶奈、珍しくはりきってるね」
こんなに急かしてくる伶奈はなかなか見ない。
「あ…だって、私やっと笑うことができて、やっと、皆の役に立つことができるから……」
「…そっか」
「はい」
心なしか嬉しそうな瞳をしている伶奈を見て、俺は思わず頬が緩んだ。
「じゃ、行こう!これからはバリバリ働いてもらうからね!」
「…はいっ!」
伶奈はその時、今日一番の笑顔を見せた。
「!!!(か、可愛いっ!!)」
「…?…山崎どうしたんですか、顔真っ赤…」
「…ご、ごめ…先行ってて…………」
「…??」
「(やば…すっごいかわいかった……)」
ドキドキが止まらない!!
………………・
ヒロインの何でも屋役職の名前、いまだに決まってないんですよね………←←←←