生まれて初めての友達ができ、私達はスナックお登勢をあとにした。

「…さて!次はどこ行こっか?」

「…屯所に帰りたいです」

「えっ?」

「あの…疲れちゃって」

久々に大勢の人達と一度に喋ったから、疲れてしまった。


「……そっか。じゃあ、帰ろっか!」

「はい」

太陽はまだ沈みそうにもない。

まだ、4時くらいなのかな

空を見上げると、元の世界には有り得ない、船が飛んでいた。

この国、地球温暖化大丈夫なのか?

「………」

「ん?どうかした?空になんかあるの?」

山崎は私と同じように空を見上げた。

「あ…いや、なんも……無いです」

「…そうだね?」

山崎はさっきからヘンな顔をしている。
ヘンな顔だなあ


「……ね、伶奈?」

「はい?」

「あの、さ…俺ずっと前から気になってたんだけど…いくつか質問いいかな」

「…?はい」

「ありがと。」

山崎は礼を言うと、早速だけど、と一つめの質問を口にした。

「伶奈が笑えなくなったのって、いつからなの?この世界に来てから?それとも、前々から?」

「………」

あまりにもハッキリと笑えない、って言うから、黙ってしまった。
驚いた。山崎ってわりと、ズバズバ言うタイプなのかもしれない。

「…多分、前々からです。」

元の世界では、まず、笑おうとしなかったから。


「そっか。じゃあ、次の質問。」

「はい」


「伶奈は元の世界で何があったの?」

「…え、」

「伶奈って俺らとどこか一線引いてるじゃない。最初は、元の世界に帰りたい気持ちからかなって思ったけど、伶奈って、元の世界に執着無いんじゃない?」

「……」

何を言ってるんだ?

執着?ある訳ないじゃない。あんな世界に


…だけど、皆と一線引いてるつもりは無かった。


「…ねぇ、元の世界に帰りたくないの?親は?心配してないの…?友達だって、」

「いません」

「、え」

「家族も友達も、いません」

このことは、この世界の誰にも、知られたくなかった。

「そっか…どうりで…無意識に、俺らと距離、置いてたんだね…」

だけどあまりにも、山崎の目が優しく見えたから、言ってしまった。



この世界の誰にも、知られたくなかった。

だけど、私が生まれてからずっと作り続けていた壁は、予想以上に分厚いらしい。

「……そうみたいです」





…………………・
あとがき
一気にシリアスなムードになってしまいました。
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