「それじゃあ、どっか行きたいとこある?」
「お腹空きました」

「あ、それじゃあお団子屋さん行こっか!うん、おいしいもの食べたらきっと笑えるよ!」

「どうも」

山崎元気だなあ。

おいしいもの食べたら笑えるのか?グルメかよ。


「………?」

あれ、山崎立ち止まった。
何かを凝視している。

「?」

私も、山崎の視線の先へ目をやる。

「…!!」


「サッサトハキナコラァ!!ネタハモウアガッテンダヨ!!(さっさと吐きなこらぁ!!ネタはもう挙がってんだよ!!)」

「い、いやだからちゃんとお金払ったんだけど……」

「ナニヌカシテンダコラァ!!サッサトハケヤァ!!(何ぬかしてんだこらぁ!!さっさと吐けやぁ!!)」


うーわ。見るからにうざい。

うざい猫耳おばさんと、あれ、誰だっけ。ムーさんだっけ。

ムーさん、絡まれてるよ。

うん。これは見なかったことにしといた方がいいんじゃないかなうん。

「…山崎、あれは首つっこまない方が………」

「…いや、でもあれ、無銭飲食かも知れないし。」

「ああー…山崎、行かないでくださいー…」

って山崎、もう走ってるじゃん!

待ってよ山崎、私お腹減った!!






あれから数時間。

ムーさんは、ただキャサリンにインネンつけられてただけだった。

やっぱりね、私、ムーさんがそんなことするような人に見えないもん。

そして、場所は、お団子屋さんじゃなく、

……スナックお登勢。

「すまなかったねえ。キャサリンのせいでアンタらまで巻き込まれちまって。ある程度ならおごってやるから、食っていきな。」

「あ、ありがとうございます。」

山崎も、まさかこんなトコで食事をとるとは思わなかったようだ。

「…………」

「ア?ナンダヨオマエ!!アタシニナンカウラミデモアンノカヨ!!(あたしに何か恨みでもあんのかよ!!)」

「ええありますよまずはその読みづらい喋り方やめろ」

「ナンダヨコイツ!!オマエコソソノマッカッカナカミヤメロ!!(お前こそその真っ赤っ赤な髪やめろ!!)」

「あーもううぜえー!!私知ってんだぞ、アンタがキャラ作ってるってこと!!」

「ツクッテネーヨ!マジコロスゾ!!」

「なら私はまた豚バコにぶち込んでやろーかああ!!」

「落ち着いて伶奈。めずらしいね、伶奈がそんなに叫ぶなんて。やっぱりイラついてる?」

「今はイラついてます」

「そっか。まあ、とりあえず食べよ。せっかくタダなんだし。」

「はい…。」

「あと、まだ伶奈の独断で豚バコにぶち込む権力無いからね。俺にも無いし。」

「あ、すみません。」

適当に謝りながら、目の前にあるご飯に手を伸ばす。

おいしい。

お袋の味って、こんなのなのかな。イマイチ分かんないけど。

…なんでスナックでご飯たべてんだろ

「すみません、お手洗いお借りしていいですか?」

「ああ。奥にあるよ。」

「ありがとうございます。」

え、山崎、私を一人にしないでよ。

山崎はそんな私の心の声を無視し、トイレに駆け込んで行った。うんこかコノヤロー

「……………」

「マジデナンダヨアイツヨーアタシガホンキダシタラアンナヤツイッパツナノニヨー(まじで何だよあいつよーあたしが本気出したらあんな奴一発なのによー)」

「うるさいよキャサリン」

「…………」

「………」

「…………」


駄目だ、気まずい。


「……あんた」

「は、はい?」

いきなりお登勢さんに話し掛けられた。びびった。

「うまいかい?その料理」

「…?え、あ、はい…とても」

いきなり何聞くんだろ。おいしいに決まってる。


「…あんた…今まで苦労してだんだねえ。」

「え」

「一目見たときに分かったよ。今までほとんど幸せを感じたことなかっただろう?」

「……」

当たってる。少なくとも、前の世界には、幸せなんか、師範と2人でいる数十分しか感じなかった。

この世界に来て初めて、幸せを感じたんだ。まだ、それが幸せなのかどうかはあやふやなんだけど。


「まあ、あたしゃ詳しい事は知らないし、知ろうとも思わない。だがね、一つ言っとくよ。…こういう、おいしいだとか、嬉しいだとか、小さな事、一つ一つに幸せを感じて生きな。この歌舞伎町には、それが溢れてるさね」

「……師範」

「え?」

「ハ?」

……あ?

…何言ってんだ私

「…………?」

…なんにも知ろうとしないところ、師範と似てるかも。

「ありがとうございましたー、……って、え?何、何ですか?この空気」

「…山崎、」

「え?」


ガシャアアアン!!


「!?」

「え!?何!?何これ!!」


あれ、急に、ドア、壊れた。


ん?あの土煙の向こう側に見えるシルエットって……





「ババアアアア!!このっ!腹減ったネ!!メシ食わせろおおお!!」

「いやっ!だからっ、ちょっと頼み方考えようよ!!!」


「…はあー。またかい。お前ら。」



「………」


いや…なんつーか…もう…



神楽ちゃんと新八くんだよ。



「…わー。」












…………………・
主要メンバーついに登場\(^O^)/
あの人の名前、ムーさんで合ってたっけ。



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