※血っぽい


クスクス笑う、白い彼を見て嫌気がさした。
後ろには黒い彼、抱き付く力はとても強い。
何時からか、彼らの私を見る瞳が異常になった。
その瞳を気のせいに片付けた時に、私の非日常が始まったんだと思う。

朝がまだ早い時間、現れたクダリは楽しそうに笑って、



「僕らと勝負しない?負けたらどっちかの言う事聞くルールで!」



と言った。
意味が分からず、聞き返すが、彼はいいでしょ?と繰り返すだけ。
渋々ながらも承知すると、彼は嬉しそうに笑った。
そしてポケモンを取り出す二人、え、二人同時、?
しかも、二人共スーパートレインの時の手元。
勝てるわけが無かった。
当たり前の様に負けた勝負、目の前の白と黒はほくそ笑った気がした。



「わたくし等の言う事、聞いてくださいますよね?」



語尾に、強制的なものが含まれているのが分かる。
あぁ、なんで勝負何かしたんだろう。
後悔は浮かんで零れて、弾けた。











「なまえ、好き、大好き、」



うわ言のように呟く彼、首筋に埋まった顔。
吐息は熱く、その熱は全身に回る。
首筋のピリッとした痛みに、眉をひそめた。
脳髄が溶ける様な、そんな感覚が身体を支配する。
あの勝負からどれくらいたっただろうか。
彼らの要求は、永遠に一緒にいる事、だそうだ。
まるで監禁生活のようなそれ、私の心を重くする様な狂った愛情の塊。



「いっ、!」



痛みは激痛に変わる。
皮が千切れる感覚、肉が引き裂かれ、そこから血が滲み出す。
彼の身体を押せば、彼はやめたけど、見えた笑顔は狂気そのもの。
傷口は熱い。
頭の中はすっかり溶けきった。
あぁ、彼らは狂ってる。



狂った環状線
(ずっと、永遠に繰り返す)

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あわわ…!
何かくらい…!?
もえさんのご希望に沿えていたら幸いです。企画参加ありがとうございました!

20110101