わたくしには恋人がいる。可愛らしく、誇るべき恋人が。
そんな恋人、なまえが最近様子がおかしい。何かを隠しているのか、わたくしといるときも忙しないのだ。それに、なにやらクダリと一緒に居るのを最近やたらと目にする。
不愉快きわまりない。



「なまえ、」

「は、はい!?」



わたくしが声をかけると、彼女はあからさまに肩を揺らした。わたくしの眉間がぴくりと震える。恋人に、このような態度をとるとはどういう要件だろうか。
わたくしが彼女に一歩近づくと、彼女は一歩下がった。またわたくしの眉間が震える。



「何故逃げるんですか」

「…意味は、ないですけど、」

「嘘おっしゃい。なまえ、貴女様はわたくしに隠し事をしていますね」



彼女の黒目が泳ぐ。やっぱり、とわたくしは落胆のため息を吐いた。



「なまえ、クダリと何を企んでいるのですか。わたくし貴女様がクダリと居るのを目にすると酷く胸が焦がれて、今にもどうにかなってしまいそうになるのですが、」



ほんのりと赤い頬に自身の手を重ねる。彼女の体が強ばった。そのまま顔を近づけ、キスを一つ落とす。彼女の頬は更に赤みをました。



「本当は、当日まで言いたくなかったんですけど、」



ポツリ、彼女が呟く。
意味がわからず、わたくしは小首を傾げた。



「もうすぐ、ノボリさんの誕生日ですよ」



彼女は優しい笑みを浮かべながら、そう告げた。
わたくしは、自分の醜態がにわかに恥ずかしくなった。彼女は、ただわたくしを祝うためだけにしていたことを、疑ってしまうなんて。



「わたくし、勘違いしておりました」

「えへへ、嫉妬してるノボリさんも可愛かったです」



にへら、と笑う彼女を目に、わたくしも少しだけ笑った。



君が笑うと
(全てが輝くよ)

---------------------

遅くなってしまい、すみませんでした
リクエストありがとうございました!



20110807