今日は日が強く、実に眩しい。
そそくさと、行き慣れたギアステーションへと向う。
いつもの様に賑わっているそこのシングルトレインには、とても格好いい人がいた。その人は、バトルも強い。彼を見ていると、胸が苦しくてうまく喋れなくなったり、顔だけが妙に熱くなったり、おかしくなる。

たぶん恋、いや絶対恋。
味わった事の無い感情だけど絶対そう。
そう思えるほどに、私の彼に対する気持ちは肥大していた。

ホームを駆け抜けて、少し先に見えたノボリさんへと向かう。
小さかった背中が、どんどん大きくなるにつれて、胸の高鳴りも大きくなった。



「ノボリさ」

「なまえ様!ホームは走らないでくださいまし!」



ピーーと耳に残る笛の音と、彼の声により私の足は急停止。
怒らせてしまったと、彼の様子を伺うと彼は少し困った様な、呆れた様な顔をしながら溜め息を吐いた。



「ご、ゴメンなさい」

「分かればよろしいのです。転んだりしたら、大変なのですから」



あぁ、心配してくれてるんだ、って思うとこんな時に、不謹慎ながらも私の頬はゆるゆると綻んだ。
そんな私を見つめて、不思議そうな彼。何だか恥ずかしい。



「えと!じ、じゃあ、私もう行きます!」



走り去ろうとしたけど、さっきの事を思い出して、早歩きにした。
しかし、早く立ち去ろうとする私に、彼の愛しい声が聞こえる。



「本日は!是非、シングルトレインにご乗車くださいまし、」



言われて、熱くなる頬。
初めて言われた、誘いの言葉。
勘違いかな、私、良い線行ってるかもって思えた。



初めてなんです
(彼もそうなのかな)

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二人して初恋、というコンセプトで書いてみました
リクエストありがとうございました!

20110206