よく、人が言うのは、
"ノボリさんって人形みたい"
とか
"感情あんまり無いね"
だ。けれど、彼はそんな事は無く、いつもの表情でも腹腸は煮えくり返っている時があって、表情に出ないぶん分かりずらく、恐怖感は倍以上。
「なまえ、少しよろしいでしょうか」
ゆっくり振り向けば、到底、平穏とは言えない様な空気をまとったノボリが立っていた。
何かと、疑問に感じていたら、腕をものすごい勢いでひかれ、彼はそのまま歩き出す。
彼にしては乱暴で、荒々しい。
「少しばかり話がございます」
そのまま、彼は私の腕を引きながらどんどんと人気の少ない方に近付いて行った。
この感じ、嫌な予感。だって、ほら、ノボリ早足になってる。怒ってる証拠。
私は、彼の異様に早い歩幅を合わせるのと、原因は何かなどを考えるので、かなり焦っていた。そんな私を顧みず、どんどん人のいない場所へと彼の足は向かっている。
気づいた時には、人は私とノボリしかいなくて、彼の足音だけがホームに鳴り響いた。
ガタン
壁と私の背中がぶつかる。
少し痛い、けど、それ以上に彼が怖い。
多少おどおどしながらも、彼の言葉を待つ。
「貴女様は、わたくしと恋人という絆で結ばれています」
開いた口から出た言葉に、唖然、そして遅れてやってくる恥かしさ。
こうも、はっきり言われてしまうと、私だって照れてしまう。
どぎまぎと何も言えない私をおいて彼は続ける。
「それなのに、何故貴女様はクダリと…」
声はだんだん小さくなっていった。
ふるふると震えている声を聞くと、なんとも言えない気持ちになる。彼がいっているのは、多分嫉妬している、ということなのだろう。
嬉しいけど恥ずかしいような、曖昧な感情が私の中で渦巻いた。
「ち、違うよ。クダリとは何もないよ。だって私は、ノボリのもの、だ、し、………」
恥ずかしくなって、最後の方は聞き取れないくらいになってしまったけど、きっと、伝わったはず。
その瞬間、彼の香りが私を包んだ。
暖かい彼の腕が、私を抱き締めた。
「その言葉、忘れないでくださいまし、」
耳元で囁かれた言葉に、こくりとうなずいた。
彼の愛の形
(それはとても不器用で可愛らしい)
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遅くなってすみません…!
いつものことながらクオリティ低くてごめんなさい
リクエストありがとうございました!
20110529