花を、彼女に渡した。すると、彼女は多少戸惑いながらも、ありがとう、と言ってくれた。
こんなにも、幸福に満ちていると感じたことなどない。どんなにギャンブルに勝っても、こんな幸福を感じたことなどなかった。
けれど、彼女と私が感じる幸せなどはすべて違うものだ。悲しみだって、きっと彼女は"彼"中心に回っていて、俺など隙間すらは入れないだろう。
それでも、よかった。よかったはずだった。
「ギーマさんは優しいですね」
ある日、泣いている彼女は言った。
きっと、彼と喧嘩でもしたんだろう。
「…どうしてそう思った?」
「彼とは…全く違うもの」
伏し目がちに彼女は言う。
彼とは違う、か。それは、そうだろう。どんなに俺が奴になりたくても、なれないんだ。
「私、ギーマさんが彼氏ならよかったのにね」
泣きながら冗談っぽく笑う彼女にズキン、と胸が重くなった。
あぁ、どうしてそんな、残酷なことを言うんだろう。
少し手を伸ばせば届く距離
(けれどそれはひどく難しく、)
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長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。
ご希望に添えていれば幸いです^^
リクエストありがとうございました!
ThankYou:雲と空耳と独り言+α様
20110629