案内、と言ってもどこをするばいいか分からない。



「N君、行きたいところあるの?」



問い掛ければ、先ほどまで空を見ていた目がこちらに向く。
うーん、等と言いながら首を傾げる彼はいきなりバッ、と思い付いた様な顔。



「屋上、行きたい」










ついた屋上。
残念ながら、鍵がかかっており外には出れない。
ガチャガチャと諦めきれないのか執拗にノブを回すN君。



「屋上、開かないんだよ。この学校」

「…そっか、残念だよ」



ノブから手を離した彼は、微笑む。
切なげな顔がひどく似合う。



「あぁ、もう、戻らないと」



鳴り響く予鈴、階段を下りて行く彼の色素のうすい緑の髪が揺れた。



「…なまえさん、?」



ガタン!
ドアから出たその音は、廊下を木霊した。
開いたドアからは、綺麗なスカイブルー。



「ここ、蹴れば開くの。ほら、出てみよ」



カタン、と桟を踏む音が鳴る。
開けた視界には、きれいな空だけが見えた。
後ろから、また聞こえた桟の音。



「うわ…きれいだね…」



後ろの彼を見れば眩しそうに目をしかめる。
緑の髪が風になびいていた。



空が似合う、
(彼は空に非をとらない程綺麗でした)