休み時間、隣りの席は人でいっぱいになっていた。
主に女子なのだけど。



「ねぇ、どこから来たの?」

「学校案内しようか?」



キーキー高い声が響く。
耳が痛くなり、避難するため席を立った。



「大丈夫、この子に案内してもらうから」

「え…」



グイと引かれた腕。
引いたその人を見れば、悪びれた様子もないN君。
一斉に向いた女子の目はとても鋭い。
そのままグイグイとN君に腕を引かれながら教室に出た。
教室からは女子達の叫び声や何やらが耳に入る。
後で色々と追究されると思うと嫌な気持ちになったが。



「ちょっと、N君」

「何?」

「私、案内するなんて言ってない」



ピタッと立ち止まったN君の背中にぶつかる。
上を見れば至近距離のきれいな顔に少し目がチカチカ。



「じゃ、今さら戻れないし。案内、してよ」



二ッコリと微笑む彼。
それを呆然と見る私。
彼の微笑みがキラキラと光っていた気がした。



不覚だった
(見とれてしまった)