「なまえ、遊ぼ!」



昨日からいきなりお茶酌み係なわけだけど、クダリ様のお世話が一番心配だ。
大体いい大人が何を言ってるんだ。
と心の中で毒づき、ニッコリと笑って。



「他を当たってください」



軽く仕事放棄的な発言だが私はやる事がある。
ノボリ様に書類の整理を頼まれたのだ。
だから、クダリ様とは遊べない。
チラリとクダリ様を見ると、ぶすぅと不機嫌そうな顔でこちらを睨んでいる。
…そんな目で見ないでほしい。



「ねぇ遊ぼうよ!ねぇ!遊ぼ!遊ぼ!」



騒ぎだしたクダリ様を横目に、書類の整理に集中する。
すると、下腹部に違和感を感じ見てみれば、クダリ様が抱き付いていて、なんと言うか…駄々っ子のよう。



「ねぇー遊ぼうよ!お願い!」

「はぁ、では今から私は鬼です。さぁ逃げてください!」



我ながらいい作戦。
そのまま逃げ続けてくれれば私は書類に没頭できる。



「分かった!鬼ごっこだね!わぁー」



よし、予想通り。
クダリ様が純粋でよかった。
事務室を飛び出してギアステーションの何処かに消えて行くクダリ様の背中を見送った後、私はイスに座って書類整理を再会した。

数十分後、書類もほとんど片付き一服してる時。
バターンと慌ただしく開いた扉に目をやれば、怒ったような顔でこちらを睨んでいるクダリ様がいた。
しまった、忘れていた。



「なまえ、ひどい!なんで探してくれないの!!」

「すみません、忘れていました」



うぅ、と唸ったクダリ様がこちらに近付いて来て、至近距離と思ったのも束の間。
チュッとリップ音と共に、口に違和感。
今、ナニガオコッタ?



「ぼくを振り回したお仕置!」



あぁ、先が思いやられる。


白い悪魔
(前言撤回、彼は純粋何かじゃない)