クダリがこんな事を口にした。



「ボク今日なまえちゃんとデートだから」



バタンと閉められた玄関の扉を見つめながら頭はフリーズ。何故、何故、何故?彼女とクダリが何故?
このような答えのでない問いがわたくしの中で繰り返された。
いつの間にか、彼等はそのような関係になってしまっていたのだろうか。不思議なことではない。彼女がクダリと、とても親しげに会話を繰り返ししていることを知っていた。
しかし、だけど、でも、!
納得など出来ない。急いで着替え、クダリを追いかけた。






クダリの事を追いかけ数分、クダリが彼女と並んで歩き始めた。
わたくしと居るときには、見せることのない笑顔。それを彼女はクダリに向けていた。
ぐるぐると腹の中で渦巻く醜いものを自覚しつつも、抑えることができない。
わたくしの足は無意識のうちに動いていた。



略奪愛
(彼女は渡さない)