日曜、祝日はサブウェイもおやすみ。
気の休まる休日、私は大抵の時間をバトルとポケモン集めに費やしていた。
それは、相棒のサザンドラを退屈させないためと、大好きなポケモンに囲まれて暮らしたいという気持ちがあったからだ。
そして今日がその日曜日。
勿論、私はバトルをするつもりだった。
だが、それは突然の訪問者によりかなわないものとなり。



「なまえー!遊びにいこー!」



訪問者を知らせるインターホンがなり、慌てて扉を開けば、毎日飽きる程見ている顔があった。
反射的に扉を閉めようとすれば、それは彼の長い足により遮られ、その細い腕のどこにそんな力があるのかグググ、と扉をこじあけ始める。



「ちょ、やめてください…!不法侵入で通報しますよ……!」



扉を閉めようと力を入れれば入れる程彼の力も強くなり、このままではドアノブが破損するのは近い未来に見えている。
しかし、ここで折れたら私の休日は無くなったに等しい。



「離してください…!」

「キミが放したらね…!」



ギチギチと扉が悲鳴をあげた頃、折れたのは私で、何故か家で彼にお茶を出していた。
普段飽きる程出しているお茶を何故、休日になってまで出さなくてはならないのだ。



「ヘー、結構、綺麗してるね!」

「結構は余計です」



私の部屋に興味があるのか、首を回しながら辺りを見回す彼は、幼い子そのものだと座りながら思った。
しかし、何故家に来たのだろうか。それよりも何故家を知っているのだろう。



「で、何か用があって来たんですか?」

「あぁ、うん!バトルしようよ!」



ニコニコとした顔を見つめながら、絶対に嫌だと心が悲鳴をあげた。
しかし露骨な態度をとれば何をするか分からないのがクダリ様。ここは話を逸らすに限ると、違う話題を提示した。



「……今日は、ノボリ様はどうしたんですか?」

「外。ぼくを待ってる」

「……探して来ます」



今は冬、しかも外は風が強い。いくらノボリ様だって寒さなどの外からくるものには弱いだろう。
立ち上がって、コートを手にした。すると彼は、



「ぼくをおいてくの…?」



と言って、まるで棄てられたヨーテリーの様な視線を私に投げ掛けた。
ぐぅと、私の中で何かが揺らぐ音がする。
しかし、ノボリ様を放っておくわけには…徐々に足を扉に向け、見計らって飛び出す様に部屋を出た。そして、何かにぶつかった。



「すみませ…あ、ノボリ様!」

「あぁ、なまえさん。クダリとのバトルは終わったのですか?」



どうやら、内容は全て知っているようだ。
鼻が赤いノボリ様を急いで家にいれ、お茶を出して沈黙。
何故、誰も喋らないんだ。
何分間かの長い沈黙を破ったのは以外にもノボリさんだった。



「…ところでクダリ。バトルはしないのですか」

「だって、なまえやだって」



拗ねた子供のような声を出したクダリ様を見つめながら"やだとは言ってない"と、小さな反論を心の中で唱えた。
救世主ノボリ様、このままクダリ様を連れて帰ってくれるとありがたい。そんな視線を彼らに投げ掛ける。



「……では、無理にしても面白くありません。帰りましょう」



流石とも言うべきノボリ様の決断に心の私は万歳&拍手喝さいだ。
クダリ様は、まだ拗ねているのか中々いう事をきかない。



「また、今度しましょう。ね?」



早く帰ってほしい一心で出た言葉、一度くらいなら等という甘い気持ちが含まれた言葉を聞いて彼は、さっきまでが嘘の様に立ち上がって、



「絶対だからね!約束!嘘吐いたら、針千本!」



などと言いながら私の家を飛び出していった。



うそだなんて言わないで
(本当に、一回はするつもりだから、)