肺の中が君の香りでいっぱいになるような感覚がする。嬉しくて深呼吸をしていたら、君は困ったような声を上げた。
上にある彼の顔を見れば、声とは裏腹に無表情だった。



「なぁに?」

「あの、……恥ずかしいです」



心なしか赤い顔で彼はそう呟くと、私の頭を二、三度優しく叩き、ため息を溢した。
だって、ノボリからは優しい匂いがするから。いつまでも嗅いでいたくなるのだ。



「ノボリの匂い好き」

「……わたくしも。好きですよ、貴女様の香り……」



あ、真っ赤。恥ずかしそうに私から目線を反らした彼を、私は見つめる。
戸惑っているのか、真っ赤な顔をそらされた。
私はやっぱり嬉しくて、笑みを溢すのだ。



私の好きな香り
(あなたはどうですか)



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ノボリさんはきっと石鹸の香りがするんや……



20120207



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