「海、ですか」
いつの間にこんな話になったからは覚えていない。流石、女性である。話が飛び飛びで聞いていて面白いものだ。
今は、立派な夏だ。
外では忙しい虫ポケモンの鳴き声が聞こえる。
まぁ、友達と一緒に海に行くのは構わない。構わないのだが。
「しかし、この時期のビーチにはおかしな輩も多いと聞きます」
「大丈夫ですよ、私なんか絡まれませんって」
笑いながら、根拠のない事を彼女は言う。
彼女は自分の可愛さに気付いていないのだろうか。
「しかし…わたくし、あなた様の妖艶な水着姿を他の男性に見られるのは他のものには例えられぬ程の耐え難い苦痛なのですが」
「よっ!な、何言ってんすかアンタ!」
今度は顔から火が出そうなほどに赤くなった顔で彼女は吠えた。
そのあとに少しだけため息を吐いてわたくしを真っ直ぐと見据える。
「じゃ、やめます。その代わりにノボリさんと二人で行きます」
妥協したような声としてやったりな顔がなんともミスマッチだ。
まぁ、可愛さに免じて連れてってあげようと思った夏のある日の事。
私を海に連れてって!(好きなだけ連れてって差し上げましょう!)
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バカップルが書きたかった…
20110330