彼のため息は美しい、と思う。
それは私なりの見解だから、なんとも言えないけど感じたのだ。



「貴女様はまた何を…」



嘆息混じりの声が上から降って、うん、実にセクシー。
上を見れば、呆れたよう顔が目に写る。
私はしゃがんでいるから、高いところに顔はあった。



「落書きなど言語道断です…」



また、ため息。私の手には、白い粉チョークが握れていて、それを見つめる彼の眉はよっていた。
それを見つめる私の中身は、満足感が凄まじい。



「ほら、ホーム地味だからさ」

「理由になっておりません。消してくださいまし」



そう告げ、彼は背を向けて去っていった。
どちらかと言えば、怒られるのは嫌いだ。けど、彼を困らせるのは大好きだ。
そんな私は、彼の言うことを聞くことにして、書きかけの落書きを足でこする。
どんどん消える落書きを見ながら、ふと、いいことを思いついた。
すぐに足で落書きを消して、また粉チョークを手にして、床に滑らせる。
書いた文字を見て満足の息を吐き、その文字を背にライブキャスターを取り出した。



「あ、ノボリさんですか」

「えぇ、そうですけど、なんでしょう」

「私、消しましたよ。是非確認してくださいな」



ごめんね、ノボリさん。
そのあとまた書いちゃった。でも愛がある落書きなら許してくれるよね。



愛故、です
(だからおこらないでよ)


-----------------
なんて書いたかはご想像におまかせします…



20110220



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -