「わたくし、こう見えて甘いものが好物なのです」
皆の報告書整理中、目の前に現れた上司の奇怪な言葉に思わず眉間にしわがよった。
甘いものが好きなイメージはクダリさんの方が濃厚なのは、誰もが同じだと私は思う。反対にノボリさんは辛い物を無表情で食べていそうなイメージ。
しかし、何故今それを言う必要があるのだろうか…。考えを巡らせていると、何をくみ取ったのかハッとした様に彼は付け加えた。
「あぁ、特にチョコレートが好きです」
「はぁ…」
聞いて無いが…等と思いながら、彼を凝視した。
チョコ、か。
そういえば、最近よく聞く単語の様な気もしなくもない。ノボリさんも、流行りなどにのっかるのかと内心思っていれば、彼はさらに続けた。
「そろそろ、あれですよね。女性が、男性に……」
歯切れの悪い言葉。
しかし、そこまで言われて気付かない人物はいないだろう。
チョコ、女が男に……、
「あぁ、バレンタインですか?」
「そうです、それです!」
言えば、彼の瞳が一際輝いた、気がした。これは、即ちチョコを催促されていると思っていいのだろうか。しかし物ごとを考えだけで肯定するのはどうなのだろう。
根が真面目なのか、そんな考えだけがぐるぐると回る。
「わたくし、チョコレートが好きです。毎日食べていてもいい!」
強く言う彼。
やはり、これはチョコが欲しいという事なのだろうか。まぁ、元々上司や同僚にはあげるつもりだが…ここまで言われたら義理じゃ可哀相な気もしてくる。
「あ、貴女様のチョコレートが食べたいです……」
どんどん語尾が小さくなる言葉に、頬が少し熱くなった。
彼だけには手作りにしようかな?
……なんてね!
選考予約(ちと強引じゃありません?)
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バレンタインの予約?
ちゃんとしたのも書きますよ!
20110122