真昼のソファは寝るのに丁度よ過ぎる。座るだけで、次第にウトウトと瞼が重くなる始末だ。
けれど、寝るのは駄目だ。なんせ、今は仕事中だし、寝てしまったらきっときついお叱りを受けるだろう。(ノボリさんに)
しかし、事務の仕事なんてすぐに終わってしまったし、暇つぶしにやってみた掃除もノボリさんがいつも綺麗にしてるためすぐに終わってしまった。
即ち、私の中では後は寝るだけ、という思惟だけが頭に強くなるばかりで、肥大化した睡魔は私を直ぐに飲み込みそうな勢い。
そんな睡魔は大魔王並みの強さを誇っており、心の中でノボリさんに謝罪を述べながら私は睡魔にいとも簡単に負けた。


目を開ければ、そこはいつもと変わらぬ事務室。
頬を抓っても痛く無いところをみると、何となく夢だと想像できた。しかし、夢だというのに何もない。不思議な生物が出て来るわけでも、ぶっ壊れたノボリさんが出てくるわけでもない、只の事務室。自分の夢ながら実につまらない。
見渡す限り、私以外の人物はいない様だ。
そう思ったのも束の間、事務室の扉からノボリさんが優雅に現れた。そして、黒い革靴をカツカツ鳴して、他には見向きもせずに、私の元へ一直線に近付いてきた。



「なまえ、」



一気に狭まった距離に、内心焦っていると、熱い瞳が私のそれと混じった。なんとも恥ずかしいそれに、私の頬には熱が集まる。
うわ言の様に私の名前を呼び続ける中、徐々に近付く顔に焦りは隠しきれなくなった。身体を跳ね返そうと伸ばした手は押さえられ、何もできなくなる。
近付く顔、もうすぐ距離はゼロ――――……




「ひ、わぁぁあぁ!!」



起き上がったそこにはノボリさんも誰もいなく、時計の音だけが部屋に鳴り響いていた。
頬の熱さはまだ冷めず、手をもたれていた感覚すら残っている。
身体を巡る自分への恥かしさ、上司とのあんな事を夢でみるなんて、とんだ欲求不満なのだろう!
当分、ノボリさんの事が見れないと感じた昼下がりだった。



白昼夢の中
(恋の始まりだったり、?)

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甘いのだと言い張る



20110121



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