深夜0時すぎ、やっと仕事が終わった私はキラキラ光るネオン電球で装飾された観覧車を眺めていた。キラキラが眩しく、目を細める。
この町の観覧車は二人乗り専用。まるで恋人達だけのために生まれたようなアトラクションだ。そんな観覧車を、ぼんやりこんな時間に眺める私は孤独な気がした。



「あれ、なまえ。どうしたの?」



後ろから聞こえた声に振り向けば、先程まで何度も見ていた上司の顔。
白い服は、ネオンがうつってカラフルに変身している。



「あぁ、お疲れ様です、クダリ様」

「うん、お疲れ様。どしたの、観覧車見上げて」



私と一緒に観覧車を仰ぎ見るクダリ様。何も無いと思ったのか視線はすぐに私に戻った。
そして、何か気付いた様に笑い出した。



「あ、乗りたいの?だったら一緒乗ろ?いいでしょ?」



ニコニコと、私の手をとる上司は、恐らく自分が乗りたいのだろう。
私は、断る理由も無くそのまま観覧車に乗り込んだ。
どんどん遠くなる地上、景色は真っ暗で光はあまり無い。
密封された空間の中、クダリ様は楽しそうに下を眺め、景色を眺めと繰り返していた。彼にしては静かで、あまり喋らない。



「ねね、この観覧車のジンクス知ってる?」



景色に気をとられていた私の耳にもはっきり入って来る。ゆっくりと声の方を見れば、いつもとは違う笑みにドキリとした。



「あのね、頂上で告白すると絶対離れないんだって、」



ニヤリ、意味ありげな笑顔、もうすぐ頂上。いまから起こる事は容易に想像できた。



キラキラ光る
(うつるは君の、)

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クダリならやってくれるさ!



20100115



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