※二人の妹




店内を流れる陽気な音楽は、騒がしい店内ではあまり意味を持たず、耳にあまり入ってこない。
目の前の同じような顔を見つめ、スパゲティを頬張る私を見たクダリは、見るからに甘そうなイチゴパフェをつついた。



「……で、話って何?」



口に入っていた物を飲み込み、本題を切り出しすと、ノボリは表情を変えないまま何も言わない。
内容は、大体想像はつくが彼らが言わなきゃ話は始まらないわけで、何も言わない彼らは話を始める気が無いように思えた。
つつくスパゲティ、冷めて来たそれはあまり美味しいとは言えない。



「……そろそろ、家に帰って来てはどうです。母も心配して…」



ノボリから出た言葉を聞いて、やっぱりと思った。
私は家出をしている。自分でも子供染みた真似だと、少々呆れてしまう。だけど、帰る気にはどうしてもなれないのだ。



「ヤダ。大体なんで二人が私を連れ戻そうとするの?普通、親が来るんじゃないの?」



本音をぶつければ、ノボリは黙ったまま何も言わなくなった。
一方のクダリはパフェを食べながら私を見る。口元は笑っているのに目は笑っていなくて少し不気味だと感じた。



「なまえ、何が不満?親?家?ぼくら?」



グチャグチャとパフェを掻き回しながら言う言葉には、何か嫌なものが含まれているように思い、手にしていたフォークを皿の端においた。
そして二人を真っ直ぐ見る。



「全部、嫌だ」



放った言葉を聞きながらノボリは少し目をふせた。クダリは何も変わらずパフェを混ぜ続ける。
昔は、すごく仲がよかった。毎日のように三人で遊んで、泥だらけで帰る事は日常だった。けれど、それは何時までもは続かない。彼等の、何かがおかしくなったのだ。好きだった人は、いつも彼等のせいで嫌われ、恋は邪魔され続けた。それが、彼等が私に対する気持ち、妹としてでは無い感情。それは、私には重すぎるもので、受け入れられないものだった。私にとっては、彼等は何時までも兄、それ以上のものは望んでいない。何時までも、あの泥だらけだった頃の私達は変えたくないのだ。壊れる前に、違う形で壊しただけ、私は間違ってない。



「なまえ、気付いてるんだよね?ぼくらの、」

「クダリ、やめましょう。なまえ、今日は帰ります。…また、話しましょう」



席をたって、出ていく兄達。
彼等の背中を見ながら、私の心はギュウギュウと悲鳴をあげた。



兄妹ごっこ
(もう、壊れてしまった)

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何か重たいぞ…!



20110107






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