バトルサブウェイ、シングルトレイン21戦目。
そこまで勝ち進んだ女性がいるらしい。
わたくしは期待を隠しきれず、ワクワクしながらその女性を待っていた。
そして、入って来た女性は、わたくしの顔を見ていきなり発狂したように叫びだし、もとの車両へとかけ戻っていった。



「お客様!逆走はいけません!」



普通なら、逆走などはありえない事だ。
しかし、わたくしの呼び掛けが耳に入っていないのか女性はそのまま逆走をやめない。
やむ終えず女性を止めるためにわたくしも駆け出した。



「お客様!止まってくださいまし!」



車両を跨ぎ、次々に扉を開けていく。
その車両ごとのトレーナーがわたくし達を見て驚いているが、事を説明する余裕はなくそのまま足は止まらない。
そして、ついに一車両目。
まるで追いかけっこの様なそれは終わりを告げていた。



「お客様、戻りましょう」

「…ッ、やめてください!」



腕を掴もうと伸ばした手は、彼女の手により遮られ、パシンと乾いた音を出した。
わたくし達を見つめる気まずそうなトレーナーが何とも可哀相。



「アナタの様な人にさらわれたら呪われます!」

「……はい、?」



彼女の言葉の意味が分からず、声がもれた。
アナタの様なとは、サブウェイマスターの事だろうか。
何にしろいい気はしない。
彼女は興奮しているのか顔が少し紅潮している。



「アナタの様なお顔の綺麗な方とは戦いなど出来ません!おろしてください!」



叫ぶ女性、綺麗な、顔?
頭の中は?で埋め尽くされる。
しばし思考を停止させていると、「早く、おろして!」と急かされたので、次の駅ですぐに停める事を無線機で駅員に伝えた。
ついたホーム、扉が開くと同時に彼女は走り出す。



「お客様、ホームは走らないでくださいまし……」



職業病なのか、ついつい注意。
しかし言い終わる前に彼女はわたくしの視界からはすでに消えていた。
頭は混沌としていて、整理も付かない。
しかし、一つだけ言えるのは彼女はわたくしの頭に多大なるインパクトと印象を与えていったのだ。



美形男子恐怖症
(なんで、サブウェイマスターが美形なんだ!)

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拒否り具合が……
恋に発展し無そうな二人



20110101



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