目の前のニヤニヤは、距離を徐々に詰めてき、過剰に反応させようと誘導する。
しかしそんな反応をしたら彼の思うつぼ。
私も後退り、距離を測った。
ジリジリ近付く彼、トン、と背中に冷たい壁。
あぁ、追い詰められた。



「は、行き止まり、ゲームオーバーだ」



近付くニヤニヤ。
彼、ギーマは何故こうも…悪趣味なのだろう。
嫌がる女性を責め立てるなんて常人ならしない事だ。
あぁ、彼は常人じゃ無いのか。



「…抵抗しないのか、つまらない」



分かっていたけれど、流石に呆れた。
コイツの悪趣味には反吐が出る。
まぁ、そんなコイツを放っておけない私も私なのだけれど。
しかしながら、彼が他の子に私のように接している様子はなく、むしろ紳士的なのだ。
反応を面白がられているのは分かるが、こうも他と差がでると、彼は私に何か恨みでもあるのかとマイナス思考が働く。



「何を、黙っているんだ。気味の悪い」

「はぁ、」



露骨な溜め息。
私だって馬鹿じゃない。
反応すればする程彼の笑みが濃くなって行くのを知っているし、何より、この様な状況は日常茶飯事。
日課と言ってもいい。
そんな毎日の一部となっているこれに、一々反応する程私は初ではないのだ。

鼻が付くくらいの近さにある、綺麗な顔。
見てくれはこんなにも美しいのにどうして変態なのだろう。
残念極まりない。



「黙るな。何か喋れ」

「…会話が見つかりません」



断片的な会話は続かず、間が生まれた。
お互いの目を見つめる。
はたから見れば、見つめ合うカップルの様。
勿論、そんな可愛らしい関係ではないが。



「………ふん、このちんちくりん」

「いた!」



はたかれたおでこ、いきなりの攻撃に私はひるむ。
この野郎!仕返ししてやる!
そんな黒い考えが生まれ、私は反撃開始。



「そんなちんちくりんを構うのはどこのどいつですか」

「俺は悪趣味だ。自負しているさ」



あっさり肯定され、何も言えなくなった。
反撃失敗、撤退だ。
しかし、後ろは壁、横にはギーマの手、目の前には顔。
逃げられそうにない。



「は!残念だったな。お前に逃げ場はない」



心の内を見事にすくいとった彼は意地悪そうな顔。
あぁ、最後はいつもこれだ。
首筋を噛まれ、ピリッとした痛みが襲う。



「お前は俺のもの、そうだろ?」



ニヤリ。
彼は頭いっちゃてるんだ。
否定できない私も、ね。



恋の仕方を教えてほしい
(僕らは不器用だから)

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題名は確かに恋だった様からお借りしました。
ギーマさん口調分からない


20101223



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