「なまえ、」





部屋の中には異様な空気が流れていて、Nが私の名前を呼ぶ声だけが響く。
私の目に映るのは霞んだ天井と、はっきりとしたNの切なそうな顔だけで、Nに押さえ付けられた手がやけに痛く思えるのは、きっと、神経が全部Nが触れてる部分に集中してるんだ。



「……なまえ、僕は、……」



頬に、なにか冷たい物が伝う。
Nの声は泣いていた。



「、僕は、バケモノ……だったんだ、なまえ………」



ポトポトと、頬にNの涙が次々に落ちて来る。
あぁ、どうして、どうしてこんなに胸が痛いのだろうか。
Nの泣き顔を見ていると切なさに胸が引き裂かれてしまいそう。



「N、大丈夫、私はここにいるから、大丈夫」

「…――」



口からこぼれた言葉に偽りは無かった。
私はいつまでもNといるつもりだし、どんなにNが傷ついても私が支えるつもりだ。
それは私の中で変わる事のない真実。



「……僕で、いいの?……バケモノ、だよ?」

「Nが、いいんだよ」



ほら、笑って。と、いつの間にか解かれていた手をNの頬に重ねた。
するとNは恥ずかしそうに、ありがとう。って、笑うんだ。



君と、
(生きていく)

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ちょっと意味の分からない作品に?
切なく感じたあなたは神様です。


20101202



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