空が好きだ。
特に冬の16時半頃の空は、夕日と青空が合わさったような色がとても綺麗で、一番好き。
しかし仕事場所は地下鉄で、空どころか太陽の日さえ拝めない。
溜め息が出た。



「はぁ、あぁ、うーん…」

「どうしたの?」



目の前に現れた白色は、私の顔をグレーの瞳に映していた。



「顔、怖いよ」

「…うるさいですよ」



ブスッとした顔が、彼の瞳にうつる。
そんな私を見て困ったように笑う彼。



「冗談、冗談。それでどうしたの」



彼を見つめたまま、理由を言うか言わないか考えた。
考えた結果、言わなくてもいいものと結論付け、視線を逸らす。
すると彼は私の顔を執拗に覗いた。



「……何ですか」

「ううん、何か寂しそうだな、って思ったから」



どうも彼は、少し鋭い。
確かに、今頃の空が見れなくて残念極まりないのだ。
はぁ、と溜め息をついた。



「私、空が好きなんです」

「そうなの?」



張り付けたような笑顔はキョトンと首を傾げた。
そして、弾かれたように顔を戻して、私の手をとり、



「見にいこう、空!」

「う、え、ちょッ!」



グン、と引っ張られる腕、反射的に動き出す足。
ギアステーションを抜けて、出て来た外。
ライモンシティ独特のネオンと一緒に、青とオレンジのグラデーションをした空が広がった。
久し振りに見た、夕暮れの空。
それは、とても綺麗で。



「うわ、綺麗だね…」

「えぇ、本当に…」



クダリさんに目をやれば、目にネオンが映って、キラキラと輝いて綺麗だ。
空は、もう日が沈み暗くなり始めていた。
冬の風が身体にしみる。



「えへへ、なまえのおかげ、いいもの見れた」



目を細めた、彼の本当の笑顔が見えた気がした。



colorful
(キラキラ、光るんだ)

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クダリ、無邪気だよ絶対


20101227



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