巻き付く彼女は力をいれてわたくしの腰を抱いていた。
正確に言うと、彼女は眠りについているのだがら無意識なのだろう。
そこで、だ。
わたくしも一応成人をとうに迎えた健康な男子な訳であり、この状況は精神的に毒なのは、言うまでもない。
したの彼女に目をやれば幸せそうな表情で寝ている。
寝込みを襲う、なんて非道徳的な事は出来る訳がなく、ましてや彼女はわたくしとクダリの幼馴染みであり、恋人などという甘い関係ではない。
……なりたいとは、思っているが。
「……なまえ、」
呼んでも返事はなく、規則正しい寝息だけが聞こえた。
長い睫毛は、呼吸とともに揺れている。
ハァ、と小さく溜め息を吐く。
なんとなく居た堪れなくなってきて、なまえを起こしにかかる。
その時、
「…ん……ノボリ……」
小さい寝言。
それは確実に私の名前を言っていて、心の奥の方からわき上がる期待。
顔に手をあて、緩む顔面を隠した。
「うわぁ!ノボリセクハラ!」
突然の声にバッ、と前を見ればわたくしを指差しながら驚いたようなニンマリ顔。
指は震えており、何か衝撃的なものを見たようになっている。
「人聞きの悪い事を言わないでくださいまし。それと、なまえが起きてしまいます。静かにしなさい」
ムグッ、と口元を押さえながらわたくしを睨むような目をしている。
カツカツと小さい音を立てて近付いてくるクダリ。
「なまえから離れてよ」
「抱き付かれているので無理でございます」
交わる視線。
それはまるで火花を散らすよう。
彼、クダリもまた彼女に恋心を抱いているのをわたくしは知っていた。
だがいくら彼にでも彼女は、譲らない。
彼女の隣り(それをねらう白と黒)
-----------------
二人とも夢主に夢中!
20101211