「Nってさ、なんで髪の毛長いの?」



唐突に開かれたなまえの口からは、意外な言葉がこぼれた。
横のなまえは先程まで読んでいた僕の本をおき、僕を見つめている。
…考えた事もなかった。
物心がついた時から僕の髪は長かった。
特に意味はないはず。



「うーん…さぁ?」

「え、何?気になるじゃん」



僕の言葉が意味深長だったのかなまえは身を乗り出し、僕に近付く。
心なしか近い。



「まさか、願掛けとか?」



願掛け、?
なまえの顔を凝視する。
あぁ、良い事思い付いた。



「うん、そう。なんで分かったの?」



ニッコリと微笑めば、本当!?と言ってとびっきりの笑顔を見せる。
やはり女の子は占いとか、おまじないとかが好きなのだろう。
目がキラキラしてる。



「ねぇねぇ!それって、恋愛系!?」

「うん、まぁ…」



少し目を伏せながら言う。
我ながら名演技。



「え!ホント!?その恋叶いそう?」



キラキラの目を見ていると、嫉妬、とかしてくれないかな何て感情が芽生えた。
僕らしくない、気もする。
僕の気持ちに気付いて欲しいなんて。



「まぁ、キミ次第だしね」



ニッコリと、確実に気持ちを伝えた。
なまえはキョトン、としたかと思えばボッと燃えたように顔が真っ赤になった。
これで、当分僕の事しか考えられなくなるだろう。



願掛け、キミ次第
(君に気付いて欲しい事)

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N君の片思い。
にしても、口調が分からない。


20101208



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