「ノボリさん、笑って!」

「いきなりその様な事を言われましても、困ります」



私はノボリさんの表情のパターンを一つしか知らない。
この真面目な無表情ただ一つ。
一応彼女の私としては彼の表情のパターンをあと二つは増やしたいのだが、現実そうもうまく行かないもので。



「お願いです!笑ってください!」

「はぁ、では…」



ワクワクと期待しながら彼の顔を凝視する。
が、さほど表情は変わらないうちにノボリさんにどうですか?と聞かれてしまった。



「えーと、変わってません」

「…さようですか」



やはり変わらない彼の顔。
兄弟のクダリさんはあんなにニコニコしているのにどうしてこうも違うのだろうか。
私はノボリさんのほっぺたを両側から抓ってみた。



「何をしているのですか」

「……引っ張ればちょっとは違うかなぁって」



以外にも柔らかい彼の頬を、上下してみたり、震わせてみたりと色々な事をしてみたところ、少しだけ頬がピンク色になって来た。
んん、これはもしや。



「ノボリさん、今照れてます?」

「…少々顔が熱いです」



どんどん赤くなるノボリさんの顔は、私にも分かるくらい熱くて。
彼のがうつったのか私まで恥ずかしくなってきた。



「なぜ、なまえまで照れているのですか」

「えと、ノボリさんのがうつりました…」



そう私が答えると、ノボリさんはゴソゴソと手袋を取り、手を私の頬に重ねる。
あぁ、冷たくて気持ちがいい。



「熱い、ですね」

「…ノボリさんも十分熱いです」



頬に触れた手から二人の体温が混ざっていく気がして心地よかった。



今日の収穫。
(アナタの真っ赤な照れた顔)

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照れてるノボリおいしい(モグモグ


20101205



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