「あのぅ、お二人さん」



目の前のサブウェイマスター二人は、人がいなくガラガラのギアステーションにて青いビニールシートを広げていた。
その上には酒やらなんやらが広がっており、さながらお花見のよう。



「あ、なまえ!」

「クダリさん…アナタ達は何をやってるんですか」



今は、サブウェイの仕事も終わった時間。
別に酒を呑んでもいい。
だが、仕事場所のここでお酒を飲むのはどうかと思う。



「たまにはいいでしょ?」

「まぁ…私にやめさせる権利はないので何も言えないんですが…」



クダリさんはもうお酒が回っているのか顔が少し赤い。
それにいつも以上にニヤニヤしている。
ふと、ノボリさんに目をやればいつも通り鉄仮面。



「あれ、ノボリさんは呑んでないんですか?」

「呑んでまふよ」



…あれ?
今、ノボリさん噛んだ気がしたけど。
出そうとした言葉を飲み込み、さっきの言動が信じられなくて私はもう一度ノボリさんに話し掛けた。



「ノボリさん、酔ってますか?」

「酔ってまひぇんよ?」



…あー、彼は酔っているようだ。
にしてもお酒の力はスゴい。
あんなに呂律の回るノボリさんがあぁなるなんて。

横でグビグビとクダリさんは酒を一気に呑んだかと思えば、いきなり私の腕を無理に引いて座らせた。
そして、熱に浮かされたような瞳で私を見る。
色っぽさから心臓がドキンとなった。



「なまえ……」

「え、ちょ…!」



どんどんと近付く顔。
何これクダリさんじゃないみたい。
その時グェ、と蛙が潰れたような音がしたかと思えばあれ程近くにあったクダリさんの顔がなくなり、次はノボリさんの無表情が現れた。



「なまえひゃん。クダリはありゅ程度おしゃけがはいりゅと、きしゅ魔になりゅ傾向がございましゅ。気をつけてくだしゃいまし」



噛み噛みで何を言ってるのかほとんど分からないが、キス魔になるという事だけは分かった。
キス魔のクダリさんを見れば今度はノボリさんを襲っている。
それを綺麗に交わすノボリさんの身のこなしは実に見事だ。
チラッと見た時計の針は、既に深夜の一時をさしており、私は帰る事にした。「それじゃお二人さん、私は帰ります。飲み過ぎちゃダメですよー」



バイバーイなんて言うクダリさんを尻目にギアステーションを出た。
深夜との事もあり、外はすっかり真っ暗。
その時、何か嫌な予感がしたけれど私は早く帰るために気のせいで片付けた。



お酒は程々に
(次の日嫌な予感は的中し、)
(酔い潰れた二人がギアステーションで寝ていた)

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オチが!
呂律の回らないノボリさんっていいかなぁと思いまして…予想以上に馬鹿な作品になりました
読んでくださりありがとうございます…なにかすみません


20101205



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