日常
「今日のご飯はー面倒なのでー卵かけごはーん」
「手抜きだなおい」
「じゃあシズちゃん作るー？」
「今日はテメェの当番だろ」
「だから卵かけごはーん。ぶっちゃけ俺疲れてるんだよね、疲労困憊。でもインスタントは嫌だし」
「…ちっ……じゃあそれでいい」
「わぁシズちゃんやっさしいー！舌打ちは聞かなかったことにするよ！それにさ、あつあつのご飯に卵と醤油かけるだけで絶品の料理になるなんて卵かけご飯は素晴らしいと思うんだよね。ってか卵は万能の食材！卵ラブ！俺は卵を愛している！」
「じゃあ今晩は卵プレイな」
「臨静ならいいよ寧ろ大歓迎。ぬるぬるにしてやるよ」
「無理」
「生クリームじゃなきゃ嫌だなんて我儘だなぁシズちゃんは。ぬるぬるにしてやるよ」
「そうかテメェは生クリームで犯されたいか。そんなに言うなら仕方ねぇ」
「無理」
「無理」
＊ ＊ ＊ ＊
「ちょっとちょっとシズちゃん何してるのさ！」
「何って、ご飯に卵かけただけだけど」
「馬鹿じゃないの！？」
「何だとノミ蟲！つかバカ言われる要素がわかんねぇ」
「そのままだとご飯ぐっちゃぐちゃになるし！ご飯様を冒涜してるし！」
「はぁ？ぶっかけてこその卵かけご飯じゃねぇか」
「白身と黄身を分けるの！で、黄身だけかける。そうするとご飯の味も卵のかかった味も楽しめるじゃない！」
「その白身はどうすんだよ。集めて淡雪にでもすんのか？もしかして捨てるなんて、んな勿体ねぇことを…」
「そんなわけないじゃない！ってか淡雪とか知ってるんだ！チョイスおかしいよせめてメレンゲって言ってくれよ！まぁそんなことはいいんだ…白身はフライパンで焼くんだよ。目玉無い目玉焼きみたいな」
「つまりは『焼き』だな」
「『焼き』だね」
「だけどよぉ、少し味気無くないか？」
「俺は別にそんなこと無いんだけど、そう思うならチーズもトッピングして焼くと美味しいよ」
「おお…ってか立派に料理してんじゃねぇか。疲れたのは嘘か？」
「別にこれぐらいなら手間じゃないし。ご飯様を冒涜するぐらいなら焼くのぐらい大したこと無いよ。ご飯様ラブ！俺はご飯様を尊敬している！」
「テメェはご飯と一体何があったんだ。つか卵ラブなんじゃなかったか？」
「卵もラブ！」
＊ ＊ ＊ ＊
「いただきまーす」
「いただきます」
「いやぁ『焼き』も見事に仕上がったし、野菜にレタスとトマト、味噌汁、それに卵かけご飯で完璧な夕食だね」
「どう考えても朝食向きだけどな」
「俺としては味噌汁が即席なのが気に入らないけどね。今日ばかりは仕方ない。あ、シズちゃん塩取って」
「自分で取れ」
「ちょ、酷い！シズちゃんのが近いんだから取ってくれたっていいじゃん！」
「テメェの為に使う労力なんて無ぇ。つか塩なんて何に使うんだよ」
「え、普通に白身焼きにだけど」
「は？」
「えっ何この反応」
「………」
「………ちょいとお尋ねしますよ静雄さん」
「…んだよ」
「君は、この白身焼き……いや、普段目玉焼きに何をつけて食べているんですかね？」
「ケチャップ」
「けちゃ、ってか早！答えるの早っ！あそこまで微妙な空気引っ張っといて即答とか、ここはしどろもどろに答える場面だろ！？」
「ケチャップ普通だろ」
「普通は醤油かソースか塩コショウで揉めるんだけど。ケチャップは異色！」
「じゃあ塩だって異色じゃねぇか」
「塩コショウだと胡椒の風味が強すぎるから塩だけのが俺は好きなの。塩コショウで食べるときもあるし」
「…ケチャップとソースなんて似たようなもんだろ」
「じゃあソースで食べるの？」
「いや」
「…何でケチャップがいいの？」
「甘いから」
「ああもうシズちゃんはなんなの可愛いなんて思ってないから。ハンバーグもケチャップなんだろうね絶対！」
「ハンバーグにケチャップは普通だろ」
「デミグラスソース！ケチャップは子供向け！」
＊ ＊ ＊ ＊
「ごちそーさまでしたー」
「ご馳走様でした」
「さて、あと片付ければ休めるー寝れる！」
「……休んどけ」
「はい？」
「俺がやってやる」
「……"犯ってやる"？やだよ疲れてるって言ったじゃん。これだから万年発情期は嫌だね。それとも俺に犯されｔ」
「それ以上言うとホントに犯すぞノミ蟲」
「あっですよねー。…じゃあ何なの？」
「俺が片付けてやるって言ってるんだよ。テメェは休んでろ」
「………俺が『やだシズちゃんかっこいいドッキーン☆』なんて思う展開を望んでたりする…？」
「テメェは人の好意も素直に受け取れねぇのかよ」
「や、だってシズちゃんが優しいなんて天変地異の前触れとしか！熱でも有るの！？」
「あのなぁ…疲れてるんだろ？疲れてる奴に無理させるほど俺は鬼じゃねぇよ」
「うわやっぱ優しいとか…相当かわいいこと言ってるのわかってる？槍が降るよこれは」
「……あー何かやる気削がれてきた」
「いや、ってかさ、代わらなくていいから手伝ってよ。先に休んでるより一緒にしたほうがずっといい」
「……あ？」
「一緒に片付けよシズちゃん！ひとりぼっちさーみーしーいー！」
「あー…まぁその方が早いな…けどよ、んな可愛いこというなノミ蟲…」
「勘違いすんなよシズちゃんのが可愛いから」
「あ？どこが」
「存在」
「………馬鹿か……」
「照れた？ねぇ照れた？顔赤いよシズちゃん！」
「うっせえノミ蟲!!」
「きゃーこわーい！」
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バカップルだよって話。