落とし物 | ナノ
落し物


ムーヴィーの帰り道、プラタナスの木の下を散歩していたら、キレイな光ったものが落ちていた。
回りは誰見ていなかったので俺はそれを拾い上げポケットに入れて走って電灯のそばにより、それをしみじみ眺めた。
なんだ、お月様のかけらじゃないか。つまらない、と俺はそれを投げ捨てた。


それからしばらくして、俺は新しい帽子を買いに店に行った。すると大きな鏡の前で見覚えのある黒い髪の青年が帽子を選んでいた。
たれだったかしらん、と俺はしげしげその青年をみる。
青年はヒョイと顔をあげると鏡に映った俺に気がついた。
アッと声をあげて振り向くとずかずかと俺に向かって喚き立てた。

「一体先週の水曜の夜はどういうことなの!」
「一体何の話…」
「何の話だって!?」

俺は真っ赤な目をした青年にどんとアスファルトの上に突き飛ばされた。
なんだか前にもこんな風に殴られたぞ、と俺は空を見上げてオヤ!と思った。
お月様のとがった端に、真新しい帽子がぶら下がってゆらゆら揺れていた。
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