犬 | ナノ
※なんちゃってエ/ル/ロ/イ
※お遊びなのでぶつ切れ





朝六時。俺は携帯のアラームで叩き起こされる=頭痛の開始。アラームかと思えば電話だった。電話の向こうはヤクザ。白いスーツのインテリ――四木。
「――ちょっと待って下さいよ、ああ、それは料金外のお話になりますね」
きちきち。受話器の向こう四木の歯が鳴る音。きちきち。俺の携帯が汗で滑る。俺は諦める。
「解りましたよ。まあ、ツケにしておいてあげましょう」
俺は苛つきケットを蹴り上げる。――波江はまだ出勤してこない。


山手線の電車はの中は常に混んでいる。頬に当たる新聞。下らないゴシップまみれ。隣の親父の体臭で昨夜の夕飯を予測。視線。振り返ると制服を着崩した女子高生が俺を見ている。笑顔を返す。
池袋――天国/餌場/犯罪のバーゲンセール会場。俺は改札を出る。目を紫外線が焼く。
俺は考える。今日は何からするべきか。朝からホモに会うのは精神衛生上健康に良くないだろう。俺はリストを入れ替える。四木の頼みを思い出した=最重要事項。
俺は路地裏に向かって歩き出す。後ろから轟音。前には標識。毎日のルーチンワークだ。頭痛と興奮の始まり。
「てめぇまたきやがったのかよ!臨也くんよおおおお!!」
ナイフは刺さらない。5mm=埋められない溝。刺さらないが切り裂くことは出来る。それでも皮一枚。化け物。俺は退散を決める。
走り出した俺の跡を化け物がついてくる――犬め。
駆け上がった先は非常階段。鉄の匂い。三階の踊り場にはコンドームのゴミ。俺は眉をしかめる。
「朝からマラソンご苦労さま!」
「ちょろちょろすんなっつってんだろ!」
「っていうかシズちゃん仕事に戻りなよ!ほら、あの上司の人かわいそうじゃん。置いてけぼりにしていいの?」
階段は二段飛ばし。雨樋に足をかけて俺は飛び降りる。チンピラの驚いた顔=人が降ってきた。残念、その次には化け物も降ってくる。チンピラは悲鳴をあげて逃げ出す。
「あっぶなーい、シズちゃん今人踏みつぶしそうだったの気が付いてた?」
「ああ?俺が潰すのはノミだけだノミ蟲」
「そういう話じゃないんだけどね」
俺は溜息を吐く。目を瞑る。
サングラスの奥の明るい鳶色の目は丸い。アメリカンスピリットにマックシェイクを一つ垂らしたもの=平和島静雄の匂い。俺はまた走り出す。右足。左足。人混みに紛れる。


警察官に、三枚の高額紙幣を握らせる=取引を円滑にする為の潤滑油。見知った顔の殺人課刑事。笑顔。相手は豚の糞を口一杯に詰め込まれたような顔。どう思われているか手に取るように解る。だが、俺は気にしない。
「やあ、これはひどいですねぇ」
部屋の中には死体=恨みを買ったくそったれ。脳漿をすくったスプーンを片手に持つ鑑識――彼らは生きている人間には興味がない。
「犯人はホモ野郎のくそったれだろうな」
「というと?」
「ケツの穴から六発。口からも四、五発出てきている。おかけで中身があちこちにとんでっちまってかき集めるだけで草臥れたよ」
「なるほど。突っ込まれたのは拳銃だけですか?」
「さあな、直腸も吹っ飛んでやがるから」
拳銃をペニスに見立ててファック。天国まで昇天するのに掛かる時間=そいつの良心の残り滓。




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