小ネタとか | ナノ


高校生になっても、オレの中で恋愛というものわからないものだ。
家族とも、友達とも違う、人を想う気持ちはわからない。

舎弟たちは言う。
いつかわかります、と。

先輩は言う。
わからない方が君らしい、と。

幼馴染みは言う。
わからなくていいのです、と。

弟は、言った。
知りたいなら聞けば、って。

だから、オレは聞いた。
今日も今日とてオレなんかに好きだと、愛してるだと言う変人に。
好きがわからないオレによく好きなんて言えると思いながら、好きとはなんだと聞いた。

「その人のことで頭の中がいっぱいになることだよ。監禁したいぐらいに」
「じゃあそれ以外は違うのかよ」
「ううん、違わないけど……影さんが求めてる答えは、一般的な考えのほう?それとも、僕の方?」
「お前に聞いてるんだからお前の考えだろ」

一般的な考えなんて知ってる。知ってるだけでわからないのにかわりないけれど。
ムッとなりながら現を見ると、嬉しそうに微笑まれた。おい、する表情おかしくないか?
聞いた手前さっさと行くこともできないから、現の答えを待った。現は何か考えて、オレに近づいて来て視線を合わせる。

「僕は影さんと話せたってだけで幸せになるんだ。影さんの声を聞けて、今日も一日頑張ろうって気持ちになる」
「それが『好き』か?」

オレの質問に頭を振る現にはてなマークが浮かぶ。
そんなオレを置いて、現はオレの手を握る

「影さんに触れたら触ってるところから熱くなって、心臓がバクバクするんだよ。でも離したくない、ずっと触ってたいって思う。影さんと目を合わせる時もそうだし、でもずっと見つめてたいと思う」

いつもと違う、ただ握られてるだけの手を見て顔を上げる。
青色の、優しい目を見つめる。

「守りたい、ずっと一緒にいたい。力になりたい。それが、僕の『好き』だよ」

微笑まれて、オレは。
顔をしかめた、と思う。実際は無表情のままだろうけど。

「守りたい、ずっと一緒にいたい、力になりたい。それはオレがよく思うことだからわかる。けどオレはお前の、周りが言う『好き』はわからない。好きが、愛してるにことになるのがわからない」

守りたいと思ったからオレは親を守ろうとした。二人の幸せが、オレの幸せだったから。そんなオレを、二人が愛してくれたから。
けれどそれは違うと言う。それは家族愛だと。弟からしたら、愛でもないと、言われた。

なら愛ってなんだ。好きってなんだ。
わからない。
だからオレがわからない愛を伝えてくる現に困るんだ。
理解できないから。

「……ごめんね、影さん。でもね、僕今とても嬉しいんだ。だって影さんはわからないっていいながら僕の愛を理解しようってしてくれるから」

それが愛しいと言う現に、本当にわからないとため息が出た。


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