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今日は定期の会議。ボスである俺と他の幹部につく皆との話し合いは、正直、内緒だけと気乗りしなかったりするだ
それでもしなきゃいけないんだけどね……ボスとして欠席はさすがに駄目だし

「ボス、どうぞ」
「ありがとう」

要に足されて自分の定位置に座る。一人テーブルの先に座っているから左右対称に座ってる皆の事がよく見えるんだけど……とても気が重い
そんな俺に気付いていない(多分)要が右側の席に着いたのを見て、口を開く

「全員そろってる?」
「……ええ。ボスが最後だったので」
「そっか。遅くなってごめんね。早速会議を始めよっか」

ナツメからの確認で始まりの言葉を言う
結構慣れてたけど、今でもこの言い方でいいのかっていう疑問とか不安はあったりする

最初はナツメから事務や営業の報告を聞く。経済学が必要な話も入っているからか数人がつまんなさそうにしてるけど仕方がないかな
俺はそういう学もナツメに教え込まれたからある程度でも理解できる。だから話的に順調だと言うことがわかり、よかったなぁって思った
少しの損でも今はなんとか補えるけど、ナツメはそういうのが嫌いだから。ナツメのお金に対する執念はそこらの人より上だっていうのは初めて会った時から知ってる

周囲の戦力。俺らを見る目
次々と必要な分、知っておかなければいけない分の情報が告げられていく
領域争いはいつものことで、歴史が浅い俺の新なファミリーを守るためには常に警戒しておかないといけない

話して、意見をいい、特に何も起きずに会議は終盤に差し掛かかる
よかった。今日は何も起きなかった

「それじゃあ、最後になにかあるかな?」
「はいはーい!おれっちはあるよー」

手を上げたのは牙狼。いつも通りの笑顔を浮かべて手をぶんぶん振っている
……どうやら今日も安心して終わらないらしい。早々に色々諦めて牙狼に聞く

「なにかあった?」
「うんとねー、おれっちペットが欲しいの!!動物と一緒に遊びたい!!」

笑顔で言われたことは個人的なことだったけどよくよく考えればここに動物を連れてくるというのはあまり賛成といった空気がない
それは多分、こんな血生臭いところに動物なんて置けないし、世話や好き嫌い、その他の事も考えると独断で決めることはできないんだと思う

動物……誰もアレルギーなんてなかったかな
これは俺個人だけで決めるわけにはいかないや

「俺は別にいいけど……他の皆はどう?」

聞くと、あまり否定はいない
よかった。そう思っていたら一人、小さい手が上がる
上げたのは海空。ここで一番の最年少で……牙狼とよくぶつかる子だ

嫌な予感しかしない
けれど上がった手を無視するのはボスとしてしてはいけないことだって俺は思ってるから、当然海空を見た

「何かある?海空」
「ある。今でもうるさい生物が一匹いるのにペットは正直いらないんじゃないかなって思うんだよね」
「はあ?うるさい生物って誰のことかな〜?」

空気が重くなる
海空と牙狼が睨み合い、微かに何も気にしていなかった千も目線を向けた

あ、これヤバいやつだ
止めようと口を開いたけれど遅く、二人の口論が始まる

「自覚無いって迷惑の極まりだよね。これ以上ギャンギャン騒ぐ小さい脳みそしかない生物はいらないんじゃない?」
「騒ぐ〜?それはそっちなんじゃないの?毎回毎回おれっちに絡んできてさぁ……小さいのは体と発育不足だけにしときなよ?おチビちゃん♪」
「っ、別に私は小さくない!!どっかの体力だけが取り柄の奴と違って頭を使っているからね?細かい作業もできるし?大雑把な奴とは違うよ」
「ぷーくすくす。インドア派がなんか言ってる〜。ここでは体動かさないと生きていけないよ?籠ることしか考えない奴はもっと小さくなってたら?」
「はぁああ?単純で直進しかできないから考え無し過ぎて失敗ばっかしてるのに?むしろ役に立たないのはそっち―――」

その続きはなかった。正確には止まった、って言った方がいいかな?
牙狼はもう飽きたのかどこ吹く風で目線を逸らし、代わりに千が海空を睨んでいる
海空は目線は変えていないけど固まっていて、そんな海空の顔の前にファイルをかざして小さいナイフを防いだ要が千を睨む

こうなるのは最早お決まりだ
海空と牙狼はよくぶつかる。すると牙狼を侮辱したと千が暴走して海空に攻撃を仕掛ける
要はそのたびに俺が作った掟のためにと海空の前に立つ
この光景はいつもの日常の一つにしか過ぎないけど、会議中は勘弁してほしいと常々思ってる

「……千。ここでの武器の使用は認められてないはすだぞ」
「……そのくそガキが牙狼を侮辱したのが悪い。さっさと死ね」
「私は死なないな!天才だから「てめーは黙ってろ」…………わかった」
「千。武器を仕舞え。ボスの前だぞ」
「……ちっ」

しぶしぶ武器を仕舞う千
要はそれを確認してファイルを元の場所に置く。海空はそんな要に何か言いたそうで、けれど何も言えないのかチラチラと視線を送るだけ

ついでにこの間にナツメは集計が間違っていないか見直し。ヴェルリーナことヴェルは目をつぶり、無視。麻は泣きそうになるのを何とか我慢してて、エーゼさんはまたかと呆れていた
……せめてナツメとか止めてくれれば……
ため息をついてしまいそうのを何とか押しとどめて、前を見直した。
なんでだろ。会議よりもさっきの騒動の方が疲れた気がする……

「ペットの件は今は保留、でいいかな?」
「いいよー。また今度思いつきでいうね〜」
「わかった。それじゃあ今日はこれぐらいで解散。各自、自分の仕事に取り掛かってね」

やっぱり思いつきだったんだ……
呆れている中、皆が席を立ち上がり行動を起こす

さっきの騒ぎを注意したり、すぐさま仕事に向かったり
俺も判子を押さないといけない書類が残ってるし……
席を立ちあがり、会議室から出ようとする。すると、後ろから声が響いてきた

「うう、うぇええええええん!!…………私の麻を泣かせる奴は誰だぁあああああああ!!?」

泣き声の次には怒号
まさか……と思って振り向くと、麻がイスを片手に暴れていた
……まじかぁ。どうやらアズマが出て来たらしい

あの力任せに見えて戦闘能力がずば抜けてるアズマを止めれるのはナツメだけだ
なのにその肝心のナツメは戻って行って……ああ!!どうしよう!!

「ちーすっ。情報屋でー……帰りますわぁ」
「ちょうどよかったジョウさん。ナツメをダッシュで呼んできてくれませんか?」
「はっはっはっ、いくらお得意さんのボスのお願いでもそれは「なんなら、まだあなたを追ってる方々にあなたの事を流してもいいんですよ?」」……やらせていただきますよ!末恐ろしいガキだぜ……」

ぶつくさ文句を言いながら走って行くジョウさんを見送り、すぐさま会議室に戻る
暴れ出したアズマはまだ怒りが収まらないようで、手当たり次第に物を投げていた。……あーあ、また修理費が……

きっとお金が絡むことだからナツメが急いで来てくれることに賭ける
だからその間、少しでも時間を稼ごう

「千と牙狼は翻弄して!!海空は離れてて!!要とヴェルはこれ以上被害がでないよう防いでなんとか気絶させて!!」
「はいボス!!」
「なんでオレが……!!」

指示して四人を動かす
俺と海空は後ろの方に下がり、見守っている。俺だって銃があれば何とか対戦できるんだけど……
狭い室内ってのもあり、翻弄する二人の行動は限られる。そして怒ったままのアズマはヴェルと要と同じくらいの強さ

持つか持たないか……ジョウさん早くして!!
そう思っていて余裕がなかったのもあり、気付かなかった。俺らの方に投げられる、イスに

「ボス!!」

要が戦線離脱して走ってくる。でもきっと、これは間に合わない
ならボスとして、俺は部下を守ろう。固まっていた海空を後ろに隠し、自分だけ当たるように前に出た

「……ボス。その自己犠牲精神はいりませんよ」
「……あ、ナツメ……」

顔に当たると思った瞬間イスが止まっり、見ればナツメがイスを掴んでいた
ドアの方に息切れをしているジョウさんが見える
……よかった。間に合った

ナツメはいつもの無表情のまま、だけど微かに怒りを滲ませてアズマを見る
アズマは少し疲れたのか、さっきより暴れていない。それもあり、ヴェルは戻ってきて千と牙狼も少し遅く動いている

「おい!!遅いんだよ!!」
「くっそ……無駄なことした……時間外給料出せ」
「うるさい。お金は今回の修理費で飛ぶ。……姉の方、お前らの給料からも差し引いて置くぞ」

うん。やっぱり修理費の事で怒ってるよね
ナツメにとってお金は大切なもの。お金があれば何でもできるとまではいってないらしいけど、お金があって生活ができるっていうのは当然らしい

ナツメはそのままアズマのところに行く
それを見て千も牙狼も戻ってきて、そして俺らはアズマと麻に合掌とそれぞれの感情を述べた


アズマを麻に戻したナツメにまた泣きそうになった麻を慰めつつ、その日の会議はやっと終わった
あの後ナツメはジョウさんをこき使ったらしい。どうせ女絡みでまたここに来たんだろうからいい気味だと思うよ




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