小ネタとか | ナノ


人気のない屋上へのドアの前に二人、時乃と遊也はいた
巷で噂されている壁ドンというのをしている状態だけれども、二人を取り巻く空気はそんな甘いものじゃない

遊也はいつも通り笑っていて、時乃は無表情にそれを見返している
そんな二人に共通することと言えば冷めている目だろうか

「ホント、顔は好みだよ」
「それはどうも」
「これで胸があればねぇ……」
「あら?蹴られたいのかしら?」
「まさか」

くすくす笑って遊也は時乃の顔に手を伸ばす。時乃は鋭く睨むけれどもそれだけで、それをいいことに遊也は頬に触れた

日に当たることを知らないように白く、それでいて健康そうな肌は潤いを持っている
まるでそんな肌を愛でるように、羨むように遊也は撫でる
頬を撫で、首元を撫で、そしてまた頬へ
その間でも時乃は何の反応もせずにただ遊也を睨み、見つめる

一通り満足したのか、遊也の手は顎へと掛かった。少しだけ時乃の顔を上へと向け、親指は唇に当てらる
弾力を楽しむように。何かを誘うように

無言のやり取りは息苦しさを生む。それなのに顔色を変えない二人にとっては些細なことなのだろう
しばらくして時乃が唇を開けた
それを狙って遊也が親指を入れる

その瞬間
ガリリッ。と狙っていたように歯で噛む音が響く
中から出てきた親指には噛まれた後があり、微かに血が滲んでいる

勝ち気に時乃は笑い
愉しげに遊也は笑う

「そんなんで私は堕ちないわよ?」
「うん。やっぱり顔だけは好みだ」








prev|next

[ back ]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -