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遠い遠い昔
私と彼は大罪を犯した
犯さなくてはいけなかった

生きたいと願う貧欲な人間だったから




「……で、何のようだ?海」
「……」

無言のまま玄関前に佇む海は無表情で、それが余計な怖さを生む
口さえ開けば大分マシな印象になるのに、今はだんまりのまま
本当に何のようなんだか?

こっちはもうすぐ晩飯なので料理をしているのに、急に来られて対応大変だっての
時間も遅いし一応こいつのも準備しようかな?
そのことを聞こうとしたら、海が口を開いた

「許したのか?」
「うん?」
「血の臭いがする。許したのか?」

なるほど。なんでこいつが変なことになってんのかわかった
料理をテーブルに運び、皿を並べ終わってから海の前に立つ
そしてお面を外した

「まさか!この前いい生魚を買ったからさばいたんだよ。安心しなよ海。私が殺して欲しいと思うのはお前だけだっての」
「……本当だな?」
「ああ。私は嘘が嫌いかな?」

笑って海の前に立つ
久しぶりにお面を外した視界は眩しく、広々と感じれる

その中で海は不機嫌顔で、けれど確かに雰囲気は柔和していた
本当にこいつは血の臭いに敏感だなぁ。こんな平和な日本じゃそんな感覚は育たないっていうのに
そんな質問は前にしたけれど私にはわかりそうでわからないことだったから結局わかんなかったけれど!!

「夕飯でも食べていくか?」
「宗人の飯か……まずそうだな」
「んじゃなしな」
「悪かったって。食べる食べる」

ったく……
こんな時のために置いてある予備の茶碗を出して、私と海は食卓に着く



生きるために私たちは命を貰う
生きるために奪う者になる
その末路は結構無残なものだけれど

同じ仲間がいれば怖くない




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